03/17の日記

20:42
桜のような君はひどく甘い
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キョロキョロと辺りを見回す。
桜並木の下は、ひらひら舞い散る花弁が雪のようで。
世界を隠そうとするかのように視界を遮る。
まるで、自分が迷子になってしまったように思えてしまう。
まぁ、何が言いたいかといえば、捜し人が、見つからない。
「金兄ー」
ふと聞こえた小さな声。
声のした方を見やれば、ふにゃりと笑う大好きな弟。
こちらへ小さく手を振っている。
「おまっ…髪染めよったか!」
「おん」
髪に手をやり、恥ずかしそうに笑う弟の髪は、桜と同じ薄紅色。
頬すら赤く染め、こちらを見やる上目遣い。
なんだこれ。
俺の弟はこんなに可愛かったか?
いや、可愛かったけど!
黒髪も好きだったけど、ピンクの髪も好きだな。
「金兄、桜似合うわー…」
「は?」
唐突にそんなことを言われた。
それを言うなら廉造に似合うと思うんだけど。
馴染むというか、なんというか…春の妖精みたいな。
…なんだ春の妖精って。
「髪が金色やからかなぁ」
「あぁ…」
かつて廉造が俺を誉めたことなどあっただろうか。
しかも、こんな素直に!
本人は無自覚みたいだし…。
なんだこいつタチ悪い。
嬉しいんですけど。
「?金兄顔赤いえ。風邪ひいたんとちゃうん?」
「や、平気やって」
熱はないから、額に当てている手をどかしてください。
「ほな、約束したこと守ってな」
「せやな」
そうだ。
入学祝に東京で美味いパフェを奢る約束してたんだっけ。
だからわざわざこの金造様が出向いてやったのだ。
「甘いもん好きとか…女みたいやな」
「えぇやんか、好きなんやし」
「あれやな、スイーツ男子」
「ちゃいますー。俺作られへんもん。好きなだけ」
桜並木を、二人で歩く。
周りに人がいないからそっと手をつなぐと握りかえしてくれた。
それがなんだか嬉しくて、柔兄を振り切って一人で来た甲斐があったと思う。
「スイーツ男子は祐兄か」
「祐兄甘いもん嫌いやで」
「あー…作るんが好きなんやったっけ」
「みんなが喜んでくれるんが嬉しいんやって」
祐兄の作るお菓子は確かに美味しいし、作ったお菓子を食べてもらってるときは穏やかな顔をしている。
「なんや、祐兄のお菓子食べたいわ」
「来週こっちに出張やて」
「そうなん?頼んどこ」
「ほんま好きやな」
「好きやでー。美味いし」
ふにゃふにや笑う廉造が、すごく美味しそうに見えたのは気のせいだろうか。
いや、多分そうだ。
きっと、甘い。
「金兄のオススメやから美味しいんやろなー」
「あたりまえやろ」
「楽しみやわ」







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こいつら何回好きって言ったよ!
拍手コメントにて桜と廉造くんについての記述あったんで、こりゃいいやと、思い立って書いたはいいが
桜というよりは甘いものが食べたいだけになったぜ

廉造と金造は甘いものが好きだと可愛いな

もうお前ら結婚しちゃえよ!

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