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□8000hit 彩様へ
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金色の羽が空を舞っていた。
幼馴染みがお守り代わりだと肌身離さず持っていた、羽飾りだ。
それが、仄かに赤い色がさした黄昏時の空を漂っていた。

今は昼から夜へ変わる間の時。
悪魔が行動を始める時間帯。

俺はふらりと姿を消した幼馴染みを捜しに、夜になったら一人で入るなと言われている森へと入っていく。
入り口に羽があり、本人がいないとなればおそらく、中にいるのだろう。

森に入ると、生い茂る樹木のせいか一気に暗くなる。
その急激な変化に、闇へ突き落とされたような妙な感覚になる。
それでも歩みを止めることなく、微かな明かりを頼り、奥へ奥へと踏みいっていく。

あいつはいったい何をしにこの森へ入って行ったんだ。

諸手で草をかき分け進む。
不自然に折れ曲がった枝や、抉られた大地や大樹。
悪魔蠢くこの森の中に、所々鋭利な何かで抉られたような跡があるのは、考えてみれば当然なのかもしれない。
だからこそ、一人で入ってはならぬ森なのだ。
そもそもとして、人が入ることを想定していないからこそ、悪魔の住み処となったのだ。
道なんて大層なものはなかった。
故に、道なき道を歩く。
これは、思っていたより体力を使うようで、息があがる。

それでも一歩一歩進んでいくと、小さな音がした。
獣の咆哮と、よく知った声。

あいつが悪魔に襲われている?

そう考えると、嫌な汗が背中を伝う。
助けに行くか、助けを呼びに行くか…。

助けに行ったとして俺に何ができる?
助けを呼びに行っている間に手遅れにでもなったら?

ぐるぐると思考が巡る。
けれど、こうしている間にも彼奴の身に危機は迫っているのだ。

考えるよりも、行動しろ。

助けも呼ばずに、音のした方へと走り出す。
道の脇から伸びる障害物を避けてただひたすらに走る。

俺が、俺が助けてやるから…!
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