JOGIO

□ピンゾロ
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仗助は身なりに一番気を使っている。年頃なだけあって、特に小物は上等な物を好んで身に付ける。そして悪知恵も然り。あの岸辺露伴にチンチロで『イカサマ』を仕掛け小遣いを増やそうとした。トラブルとは言え、火事を起こしたのも仗助に原因があるのだ。
「…すんません」
エマは何も言っていないが、察したのだろう。頭を下げて謝っている仗助。キッチリ正座までしていた。
「謝る事ないわ」
「ッえ?」
タレ気味の目尻を大きく見開き、ホケっとしてきた。「だって私は露伴先生じゃあないもの」エマはニコリと微笑んだ。
「や、やっぱ怒ってるっスよ―!エマさぁん」
ウルウルと瞳を揺らし、絶望だと自分の肩を抱いた仗助。
「仕掛けるなら承太郎さんにするのが漢じゃないの?」
あの人を騙せてこそだと言える。まぁ仗助なら無理だろうけど。直ぐにバレるのが目に見える。
「殺されますって!オラァ!で…」
「じゃあ私と遊ぼう」
テーブルの下から茶碗とサイコロを取り出したエマ。
「ちょっ?マジで!?」
「お小遣い欲しいでしょ?」
「欲しいス…けど!エマさんに博打できないって俺」
「大丈夫、仗助は『一二三』しか出ないから」
何を根拠に彼女は言っているのか分からなかった。
「ヒフミって…エマさん、サイコロの確率しってますか?」
「勿論、でも仗助は一二三しか出ないわ。どう?やるよね?」
チリチリーン、と賽を投げた。ピンゾロのアラシ。無条件の勝ちで5倍取りが並んでいた。
「ま、まさか…ソレって」
未起隆くん。と言い切ったエマ。
「ズルい?まさか!私は仗助と違って、正々堂々と『イカサマ』を宣言したわ!何か問題でもあるの?」
さぁ、賭けるか賭けないか今すぐ決めなさい。なんて凄まれた。唾を飲み込んだ仗助はフルフルと拳を突き上げた。
「やってやるっスよ――!仕組まれた運命を捻曲げるのが仗助くんだぜ―!」

嗚呼、何処までも真っ直ぐな君が愛しくて仕様がないよ、仗助。

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