海軍・海賊


□I LOVE you
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Iloveyou、貴方に届かなかった
許されないと分かっていた
いっそ捨ててしまいたかった
Iloveyou、貴方に望まれたかった




仕事の帰りは前を向いて歩くのが癖になった。暗闇に溶け込んだ自分の姿は誰にも見られない、無意識に明るい場所も避けて通るようになった。悲しみの感情は埋めてきた。切ない感情は捨ててきた。貴方を感じてはいけないから。

もう私の中から出さないと誓ったのに。
人気も疎らな時間帯に海岸沿いを歩いていると誰かの気配を感じた。街灯すらない月明かりは正常な判断を鈍らせる。右に居ると分かった時には身体がぶつかっていた。

「おい、大丈夫か」




Iloveyou、触れたいと願っていた
一瞬でも触れたかった
こんな形でも構わない
きっと全ては夢なのだから
Iloveyou、夢から覚めないで



「名無しさんじゃねェか」
「  」
「こんな時間にお前、明るい所歩け」
「スモーカー、どうして貴方が…」
「散歩だ」

眠れない夜は外に出るとスモーカーが言っていた事を思い出した。埋もれてしまいそうな時代に絶望を感じ、己にも失望を抱いている彼。傷付けた身体や魂を更にすり減らし、生きる意味を見つけ続けている。道端に咲く雑草のような花を綺麗だと思えるその瞬間を。

「気を付けて、闇は人を引き摺り込むわ」
「名無しさんもな」
「ねぇスモーカー」
「…早く帰れ」
「貴方がボロボロになって、誰かにすがって寄り掛かりたい時が来たら…」


貴方が枯れる前に。


「幸せになれねェぞ名無しさん」
「構わないわ」
「呆れた馬鹿だな、待つ気かよ」


Iloveyou 、存在するだけでいいから。
優しい愛を知って欲しい
清らかで綺麗な愛を与えてあげたい
絶望から帰ったら私がいるよ
Iloveyou、欠片でも伝わればいい。


「そん時は真っ先に行くぜ、名無しさん」

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