短編

□隣にいる貴方
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――にーのばかぁぁあああ!



なきながら、ツナは俺をたたいた。

たくさん。たっくさんたたいた。

俺はわるくない。わるいのは、ツナだ。



――ツナ、いたいよ。やめてよ

――わああぁぁぁん!!

――こらっ、ツッ君!そんなことしたらお兄ちゃんの頭、イタイイタイでしょ!



俺の頭をぽかぽかとたたくツナの手はとても小さいけれど、でも、すごくいたかった。

いたくて、かなしくて、泣きたくなったけど、俺はなかない。ないちゃだめだから。

だって俺は「兄」だから。泣いたら、友達にわらわれる。

ツナが手にもってた人形を俺にぶつけた。

固くていたい。

なみだが出そうになったけど、がんばってがまんした。



――ツッ君!!



母さんが大きな声でおこった。

ツナはおどろいて、たたくのをやめた。まあるい目になみだをためて、どこかへ行った。

てっきり、母さんははツナの所にいくと思ったけど、俺のとこにきてくれた。

たたかれた俺の頭を「よしよし、痛かったね」ってなでながら、母さんはこう言ったの。



――ごめんね、拓也くん



どうして母さんがあやまるの?
母さんはなにも、わるいことしてないよ。



――ツッ君はまだ小さいから、なんにもわかってないの。
――悪いことだ、ってわかってないのよ。だから、ごめんね。お兄ちゃんがガマンしてあげてね。



母さんはまゆを八の字にして、俺に言った。
俺はうなずく。



――うん、わかってるよ。

――ありがとう。ツッ君のこと許してね。嫌いにならないであげてね。

――きらいになるわけないよ。



だって俺、ツナのこと大好きだから。
「弟」だし、とってもかわいいし。

…でも。

たたいたりけったり、人形をぶつけてくるツナはきらいだな。



――とーってもいい子ね、拓也くん。とっても優しいお兄ちゃんよ。ママの自慢の子。



ありがとう、って母さんは俺をだきしめた。
うれしいけど……恥ずかしいな。


もう、頭いたくないよ。










――なんてことがあったのを思い出し、今や立派なボンゴレ十代目右腕となったツナに伝えた。



「……」

「どうした?ツナ」

「ご」

「…ご?」



あれ、嫌な予感が。



「ごめんなさいいいいいいいいいいい!!代わりにぶっておれのことおおお!!!叩いて!!人形ぶつけて!!!けってええええええ!」

「つ、ツナ落ち着けって!!」

「うわあああああ、過去の俺をぶっ殺したい!!!ドラ○もんタイムマシンくれええええ!!!!」


「おい誰かこい!ツナが乱心したー!」






隣にいる貴方



ボンゴレは今日も平和です。







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