短編

□愚かなる人
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あら、始めまして。

私の名前は香菜。
苗字?そんなの、教える必要なんてないでしょ?

私は今、“噂の女”を見物してるんだから。


…え、何処で、だなんて…わかりきってるでしょ?

並盛学校にある応接室で、よ。


あら、「並中」+「応接室」だけで分かっちゃったの?

ふふっ、まぁ…当たり前よね。
普通の人が、ずっとココに居られる訳ないわ。

そう…【赤の他人】風情だったら、ね?





「ちょっと、香菜…何してるの?アイツ等、動いたよ」

「あぁ…そう、あら…?今度は六道骸まで来たの?」

「まったく…本当にアイツ、僕を倒した男?あんなアホ女何かに現を抜かすなんてさ…」

「クスクスッ、そうね…ええ、そうね」




恭弥に同感ね。
まったく…あの子は、何者かしら?

ある日、並盛の屋上に空から降ってきて、その場にいた3人と餓鬼1人をその神秘的容姿で一目惚れさせた女。
そしてその内の1人の家に居候させてもらって、その家のモノの一部の人も魅了させた女。

次に身元も分からないまま並中に転校し、その転校先の2-Aの奴等全員…あ、男子全員も魅了。

他にはボクシンブ部部長、他の学校の美形3人組、外国から来た金髪(+その部下)も魅了。


どれだけ人を魅了させるのが得意なの?

【人】として可笑しすぎる。
だって、そうでしょ?

【人】ならば、2〜3人程度なら、何とか…ギリギリ分かる位だと思う。
だけど…こんなに沢山じゃ、ね…気持ち悪い位のスピードで好かれてる。


あんな、身元も何も、空から降ってきて、しかも会っていきなり、「私、本当にトリップしてきたんだ!?」って、言った女なんて。


よく好かれるわね。
って言うか、【トリップ】って…なに?


この世界にトリップしてきたってこと?

…まぁいいわ。あんな女何かに興味はない。


…あーでも、その感情は嘘かも。
だって、興味がなかったら傍観何てことしないもの。


傍観って…かなり上から目線よね?

だって貴方…自分のことを、いつも傍観…いや、悪く言えばストーカー並に日常生活を見られるなんて…嫌でしょ?

私だったら、嫌ね。
と言うか、私をストーカーするなんて無理な事だもの。だって、私、【香菜】って言う存在だから。


だって、【香菜】の恋人は…あの、最強無敵な【雲雀恭弥】…その人なんだから。


うふふっ、あら?

あの子、更に金髪やらその部下やら医者やら、大きな本を持った小さな男の子、アフロ頭な小さな男の子まで呼び出しちゃって…


もう、本当に


――煩いわね。

あーもうやめ、やめね。


もう気分最悪になっちゃったじゃない。
さて…もう、飽きた事を恭弥に言わなくちゃ…
まだ、あの子達を見てるからね。




「恭弥…あの子達、見てて苛々するわ。もう、今日で傍観はやめる。やめるわ」

「香菜がやめるなら、僕もやめるよ。あんなバカな奴等何て、見てても無駄なだけだからね」

「あら…?じゃあ、何で今まで見てたのかしら?」

「それは無論、香菜が見てたからだよ。」


「…ふふ、嬉しい事を言ってくれるじゃない、恭弥」




あはは、有難うね。恭弥。


そして、永遠にさようなら、あの子。


…いや、今日からあの子ではなく、






愚かなる人




((…って、呼ぶから。じゃあね、名前も知らない、【愚かなる人】さん?))
((香菜が見ないなら、僕も見ない。香菜が見るから、僕も見るんだ。香菜が見ない存在、認めない存在何て…見る価値何て無いモノ、何だよ。))






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