短編
□私がモテないのはどう考えてもリドルが悪い
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「リドル、その…荷物の整理終わった?」
扉からちょこっと顔を出し、中にいる奴に声を掛ければ、彼は本を見ながら答えた。
「……あぁ、終わった」
私は、あと二カ月で魔法学校であるホグワーツに通える。
やっとこの糞みたいな場所から離れることができるのだ!
まぁ、同じ孤児院の奴もいるがどうでもいい。
ホグワーツでは友達を作って、勉強に励んで、恋人を作って、
遊びに勉強に恋に大忙しだ。
「……言っておくが、自分の荷物は自分で詰めろ」
「うっ、うーす、」
早く、入学式が来ないかなぁ。
「…………」
……入学式が終わってはや二カ月。
何故だ。私、恋人以前に友達イナイ。
話をした子なんて入学式の時に隣だった子に、
「ホグワーツ、凄いね」と
同じ寮になった子に
「よろしく」
「次の授業って何だっけ?」
と
同じ部屋になった子に気を使って、
「ベッド……げ、下段がいいなぁ〜…なんーて、ハハハ……」
だけだよ!クソが!!!
いや、考えろ。逆に考えろ。
まだ二カ月しか立ってない。
友達なんて、これからだ。
そうだよ。まだ焦るような時間じゃない。
まだ、焦るような……
「アンナ〜図書室行こ!」
「いいよ、ダルクも誘おっか!」
「いいね!」
あば、あばばばばばばば!!!
何だよ!!
もうグループ出来てんじゃん!!
やべえじゃん!!
そうじゃん!リドルじゃん!
同じ孤児院の出だし、あいつ無愛想で院ではぶられてたし、
あいつなら……
「ねぇ、トム!分からないところがあるのだけれど、」
「やぁ、ブレンダ。そこはね、」
「ブレンダだけズルい〜」
べべべ、別に羨ましくなんてねーし!
あんなうざったい奴らなんかと連むくらいなら、ひとりぼっちでも構わねーし!!
…………。
あ〜……勉強、すっか。
図書室ではなく!トイレで!!
「…………」
「トム?」
「いや、何でもないよ」
「ふー…
なんだ。ここのトイレ、全然人来ない」
ちょーラッキー!
ここなら落ち着いて勉強できる。
んで、リドルよりも良い成績を取って…――
「わぁ、ななしって頭良かったのね!」
そう、かな?
「トムよりも良い成績を取るなんてすげーな!」
いや、そんなにスゴくないよ!
「俺にも教えてくれよ」
いいよ!
「あー、狡い。あのさ、今度の休み暇?
良かったら、その、勉強するついでに遊びに行かない?」
えー。もうそれ、デートのお誘いじゃないっすか。
「うふっ、い、いいよ。一緒に、うふふふ…――」
「……ひっ、(と、隣の個室から、気味の悪い笑い声が!
あぁ、私を精神的に痛めつけてるのね!!)」
お前こそ狡いな。俺も一緒だからな!
「えー?ふっ、そんなこと…――ふひっ、」
「っ、(もう、駄目。耐えられない!!)」
バン!!
「…………え、」
え?まさか、え?人、え?入ってた?
「」
「……廃人みたいになってるが、大丈夫か?」
「」
「おい、聞いてるのか?」
「は!……そうだ!リドル!!すれ違った人を見かけなかった?」
「は?」
「トイレからだよ!」
「いや、此処は談話室だけど?」
「!」
いつの間にか談話室へと移動していたのか!
どうやって来たかは覚えてないが、今はそんなこと、どうでもいい。
また、トイレに戻るか?いや、トイレにいた人物と会える保証はない。
ということは、選択は一つ!
「おやすみ!リドル!」
「?、……あぁ、おやす、」
バタン!
「……み、」
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