姉弟

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「ねぇ!一緒にお茶でもしない?」

いつも通りに一人でトランプのお城を作っていると同じ年齢ぐらいの金髪の少女に声をかけられた。


孤児院ではおやつ、なんて贅沢なモノはそうそうありつけない。丁度小腹も空いたし、断る理由もないので快く承諾した。

少女は嬉しそうに手を引いて外に出る。

外の天気は快晴とはまではいかなくて雲が空の半分を占めている。


「新しいお友だちを呼んできたわ!」

「こんにちは。」

「こんにちは。」

少女の友だちらしき人が二人、先客で座っていた。

「…こんにちは、アリス・アナ・リドルよ。」
簡単に自己紹介をする中、今日は雨が降りそうだなぁ…なんて別のことを考えていた。

それからも、彼女たちの話を耳にはさみながら思う存分お菓子と紅茶を堪能していた。

だが、

「…姉さん?」

急に辺りが暗くなる。

今まで楽しく話をしていた彼女たちは水を打ったように静まり返っていた。

「…何?」

そんな彼女たちを視界に入れながらも弟に続きを即足した。


「何してるの?」

無邪気に駈けてきた弟にため息をついて見て分からないかと尋ねる。

しかし、弟が口を開く前に、

「私、気分が悪くなったわ!戻る!」

「ちょっと、待ってよ!」
少女の友だちは去っていき、そして…

「…二人とも、」

最後にチラリと振り返って、誘ってくれた少女までもが部屋に戻った。


とうとう、ポツリポツリと雨が降り出す。

「…――お茶会をして…いたのよ、」

弟が何故かへこんだ様子だったから、飲みかけた紅茶を差し出す。

「飲む?」

コップを受け取り、頬を染めて嬉しそうに飲んだがまだ憂鬱そうだった。

「僕が…――いなかったら、姉さんはお茶会を続けていたんだよね…」

コップの中にはまだ少し紅茶が残っていて、映った弟が寂しそうに揺れていた。
しかし、雨じゃない雫がコップに入り、弟は揺れて消えてしまった。

「…どうだか、」

ビックリしたように見上げてきた弟に自分でも驚くくらいに強く言い放っていた。


「…雨が降り出して、中止になってたわ。」

そう言って、手のひらを広げればさっきよりも強く降り出したことが分かる。

「…――じゃあ、なんで姉さんはまだお菓子を食べてるの?部屋に入らないの?」

自分も入らない癖にそんなことを聞いてくるなんて、

「じゃあ、なんであんたは入らないの?」

おかしくて逆に聞き返してみれば、拗ねたように答える。

「だって、姉さんがいるから…――」

どんだけあたし中心なんだ、コイツは…


ため息をついて今度はあたしの理由を言う。

「あたしは雨が降り出したからって、あたしのお茶会は止めないわ」

…そのためにずっと退屈な話を聞いて座ってたんだから、

「…じゃあ、一人になっちゃうね…」

弟は眉を下げて悲しそうな表情を浮かべる。

「そうよ、一人になってたの!
今は、あんたがいるでしょ?
あ〜ぁ、せっかくあたし一人で食べようと思ってたのに……何よ?」

嬉しそうに紅茶を飲み干した弟はニコニコと笑っている。


「僕が来たから、僕がいるから、姉さんは一人じゃないんだね!」

雨が降っているのに、空は曇っているのに、何故か太陽がそこにあるように見えた。












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