姉弟
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「姉さん!」
そう呼びかければ、姉さんは鬱陶しそうに眉をしかめて振り返る。
時たま、無反応や無視をしてくる時もあるけど、
僕にとっては大切な、大好きな…姉さんだ。
とは言っても物心がついた時はまだ興味すらなかった。
今思えば姉さんは何気に僕のことを見ていてくれた。
そのことを問えば「知らない」「忘れた」の曖昧な一点張りだけど
否定はしないから照れてるだけだと思う。
自惚れとかじゃなくて…
姉さんは…
僕を愛していると思う!!
「それは自惚れよ」
…姉さん、回想にまで入ってきて会いたい気持ちは分かるけど少し黙ってて、
…だって、あの日、姉さんは僕を助けてくれた。
「…化け物!」
初めて不思議な力を使った時は…何も感じなかった。ただ、僕はほかの奴とは違うんだって冷めたように理解した。
でも、
「待てっ!俺のボールが勝手に!」
「…フン、」
次第に操れるようになってこの力を使うことがだんだんと楽しくなってきた。
そんな僕に、
「…止めなさい、」
姉さんはいっつも邪魔をしてきた。
だから、嫌いだった時期もあった。
「!、煩いっ」
傷つけた時もあった。
「!、イッ!」
「ッ…――」
「…――いい加減にしなさいよ」
「っ!」
それでも、姉さんは僕に真っ正面から向かってきた。そんな姉さんに訳が分からなくて…逃げ出していたのはいつも僕の方だった。
そんなある日の朝、
「…――」
僕のお気に入りの蛇の玩具がなくなった。
「っ!」
「……何よ?」
すぐさま姉さんを疑ったけど、
「…別に」
「…………」
けど…――
姉さんはそんなことはせずぶつかってくるとその時の僕でもそれは理解していた。
なら、一体誰が…
「おい、何ボサッと立ってんだよ!」
僕よりも年上の子が話しかけてきた。
確か、彼は…
「お前の大事な蛇を捜さなくて良いのか?」
ほんの少し、からかってやったことがあった。
「ッ!お前!」
「精々探してな!!」
高笑いをする奴に精一杯睨み付けた。
「…何だよ、」
そんなに僕の目が恐いのか相手は少し後ずさりをする。そんな様子に更に僕の怒りに油を注いだ。
「僕のっ…」
吹っ飛ばそうとした時、後ろから突かれて転けてしまう。
キッと睨み上げれば張本人は偉そうにふんぞり返っている、
「何よ」
「!、またお前か!いつも僕の邪魔ばかりして…―――」
姉さんだった。
「あぁもぅ!煩いな。アイツ、行っちゃったわよ?」
「!!」
「喧嘩してたみたいだけど…――なんかあったの?」
「アイツが僕のっ…――」
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