姉弟

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雪が津々と降る窓の外に対し、映る部屋の中の様子ははしゃいでいる子ども達…

対照的な二つの空間に挟まれた窓に映るあたしは眉間にシワを寄せ不服そうにどこかを見つめていた。

理由は分かりきっている、だって、今日は…―――

「アリスちゃん!」
…この間、お茶会に誘ってくれた子だ……誰だったっけ…?

確か、

「…エイミー?」

「覚えててくれたんだ!」

嬉しそうに話すエイミーにあたしは、再び視線を窓に移せば不満そうな声が上がった。


「アリスちゃん!そんなに窓見つめて楽しい?行くよ!」

「!ちょっと、」


いきなりあたしの腕を掴んだかと思うとエイミーは有無を言わさずにグイグイと引っ張って行く。

とうとうなすがままに部屋に入って行く彼女に続くあたしは我慢できなくて強く声をかけた。

「エイミー!ちゃんと説明して!」


「……姉さん、」

彼女が口を開く前に良く知っている声が遮った。

「………」

声の方向を見れば同じ年くらいの少年が弟と向き合って話していた。

「デニス!私の方は大丈夫よ!あなたは?」

あたしの質問を無視して尋ねたエイミーに少年、デニス・ビショップは言葉をゴニョゴニョと濁した。…大体、分かってしまった。

「姉さん、どこ行くの?」

出て行こうとしたら弟に呼び止められ、話していた二人が扉にいるあたしに気付いた。

「アリスちゃん!待ってよ!
今日は……今日はあなたとトムの誕生日じゃない!」


…やっぱり、

「…だから?あたしは祝って欲しいなんて頼んだ覚えもないよ、もう、あたしに構わないで」


少し早口でまくし立てて何か言われる前に、と扉を閉めた。

案の定、もたれた扉の向こう側で何か喋っている声が聞こえる。

でも、いつまでもこうしている訳にもいかない。あたしはふらふらと立ち上がって自分の部屋へと向かった。

いつも弟の部屋で寝ていたから自分の部屋のドアノブを握ることさえ久しぶりだった。

ゆっくりと回せば自然と扉が開きあたしは中に入った。

…弟の部屋は無機質で必要なもの以外何も置いていないが、あたしの部屋は必要なものさえない。


そんな何もない部屋は少し埃が積もっていて…あたしの部屋は人が住んでいると言うには程遠かった。

ずっと突っ立っているのもおかしいから、意を決して足を踏み出せば埃が微かに舞う。

あたしはベッドまで行くとシーツを被り、体を曲げて小さく三角座りをした。

あたしには分厚い暑苦しい毛布よりうっすらと暖かいシーツの方が合っていて凄く落ち着いた。


そして
目を閉じて膝を抱えて入れば、無心になって余計なことを考えることもなくなる。

…あたしはいつもそうやって何も考えないようにしてきた。
…大事な何かを、守ってきた。

「何…?」

でも、それが間違っているとでもいうように扉が開閉した音が聞こえる。












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