姉弟

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長い寒い冬が過ぎ去った後、温かい気候になり年に一回の海へと遊びに行った。

そして今、
砂浜をかけるチビ共に僕は一人で日陰の中で座っていた。
…姉さんは今回仮病を使って来ていない。僕も同じ様に言ったのに取り合ってくれなかった。

その時の姉さんの表情と言ったら…嬉しそうに笑って珍しく鼻歌まで歌っていた。
ホント、姉さんはいい性格をしているよ。


「…―――アリスが好きなの?」

「だっ、だったらなんだよ!?」


…アリスと言う単語に耳を傾けるだけでなく視界にも入れてやれば、エイミー・ベンソン…とデニス・ビショップ…――

って、
「…――ちょっと待って!今姉さんが好きって言った!?」

ビショップを問い詰めればビショップは顔を真っ赤にして黙った。
開いた口が塞がらない…――


「デニスはいっつもアリスちゃんを見つめてたからね!すぐ分かった!」

嬉しそうに笑うベンソンにビショップは意味もない悪態をつく。

「う、るさぃ…――」

冗談だと思いたくても更に顔を赤くしたビショップに僕の何かが急激に冷めていくのが分かった。

「…――駄目だ…」

姉さんが誰かの側にいるなんて、
僕以外の奴の側にいるなんて、

考えたくもない。


「トム?」


姉さんはずっと、

「…―――ねぇベンソン、ビショップ、」

「なぁに?」
「、なんだよ」


「姉さんと一緒にいたかったらさ、弟である僕と一緒にいなきゃいけない。」

…僕とずっと一緒で…―――

「…あそこに、洞窟があるんだ…」

2人っきりで、いるべきなんだ…―――



「…――――行ってみないか?」

他の奴らなんて、イラナイ…――

僕と姉さん、
二人だけの世界でいい…――







「ただいま、姉さん!」

「おかえり…――?
…エイミーとデニス、」

本から顔を上げた姉さんは僕の後ろを歩いていた二人の異変に気付いた。

「…―――どうか…した?」

「…――――――いえ、別に、」

姉さんは見透かしたように駆け寄った僕を一瞥すると再び本へと戻した。

「ねぇ、姉さん…」

姉さんは僕が不思議な力を使ったことを悟ったのかもしれない。

「…何、」

でも、きっと姉さんは僕の気持ちまでは気付いていない。気付けない。

「二人っきりの世界だったら…どう?」

だって、姉さんはこの感情を知らない…

一人で生きていけ、なんて言うんだから…

「…世界がそれくらい狭かったら…良いのに、ね」

「……」

でも、
だからこそ姉さんは綺麗で気高くて美しい…


本から顔を上げて遠くを見る姉さんの表情はなく、それが余計に姉さんの美しさを引き立てていた。










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