姉弟

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「………」

朝一番、とはいかなかったものの起きてすぐMs.コールの声を無視して弟の所に行ったあたしは固まってる。

言わずもがな、あれだ。
「化け物!!」

…苛めである。

「知ってるんだぞ!ビリーの兎を殺したのもお前だってこと!!」

大人より純粋であるが故に子どもというものは残酷だ。容赦がない。


「…それがどうした?兎が死んだからなんだ?
第一、どうやって僕が殺した?…生きててもどうせ、太ったら肉のパイにするくせに」

「なっ!」

嘲笑う弟の瞳が完全に紅蓮の炎を灯していて、怒っているのだと分かった。……そういえば、あたしに引っ付いてくる前もこんな感じだったなぁ…と呑気に観察しているうちに苛めている中の一人が足元にあった石を拾った。
まさか、と嫌な予感が胸を占める中弟は別の奴と話をしてて気付いてない。


ドゴッ!

「っ、」

「「!?」」


「姉…さん?」

弟の震える声に視界の半分位が溢れ出てきた赤い液体、
…あぁ、石はやっぱり思いっきり投げちゃいけないな…と改めて認識した。


「な、何だよ…アリス…お前はその化け物の味方をするのかよ!!」

「…当たり前よ。」
「 、姉さん、血が…」
「いいから、」
「でも、」

「いいから…!?」

目に涙を溜めた弟へと視界を移した瞬間勢い良く引っ張られ押し倒される。

「動くなよ!動いたら、アリスがどうなるか、分かるだろう?」


「……、分かった、」

「!?
あんた、分かった、じゃないでしょ!早く…―――」

「大丈夫、大丈夫だよ。」
うまく笑えていない、歪んだ笑みで私を見下ろす弟。

駄目、駄目、駄目…――
「…やめて、」

震えた声しか出ないあたしを弟は更に歪な笑みを浮かべていた。

「僕は…―――」

声に漏れることなく、空気を出す唇は、あっという間に地面と重なる。

「っは、…ぐっ、」

「そんなの、駄目…―――」

「な、なんだ…コイツ、全然大したことないじゃん!」

「…ねぇ、アリスもやった方が良くない?」

子ども達がなんて言ってるのか、なんて知らない。聞こえない。

聞こえてくるのは弟の断末魔…

「…―――やめて、」


そんな思いをするのはあたしで充分、

「いいね。きっとあの悪魔も堪えるんじゃない?」

近寄ってきた足があたしを蹴る。

その向こう側で、俯せた弟。

彼の手がピクリと動いた瞬間、涙が頬を伝うのを感じた。



「姉さん、姉さん、」

いつの間にかオレンジに染められた空の下、あたしは地面を見ることしか出来なかった。

「大丈夫、大丈夫だから、」

諭すような優しい声が抱きつかれた背中から伝わってくる。

「っ、」

ヒリヒリと蹴られた所が疼き出し、向こうの世界でのことを思い出す。
しかし腹部に感じる久しぶりの痛みは意外にも耐えれるもので、我慢できた。

「っっ、」

なのに、どうして。

赤子のように叫び狂う声を抑えている。


「…大丈夫、

僕は…―――世界を支配してみせるから…」

縛り付けてくる腕に、側にはある動かなくなった体たち。
…―――あたしの世界は茜色を背景に狂いだしていく。
あたしはこの事実に何も出来ず、ただ、下を向いて目を逸らしていた。










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