my diary
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「…あぁ、お陰で授業に遅れそう…――」
あの後広間から出て行こうとしたのが艶麟に見つかり、しつこくまとわりついて離してくれなかった。
「…はぁ、…―――――?、間に合った?」
思わずため息を零した視線の先には何やら誰かと揉めている?ようだが…
あれは、ポッター?と…―――
何故、片一方がポッターと分かったか?それは簡単だった。
「ハリー、ハリー、ハリー」
……ハリーの連呼、だからだ。面白そうな事態にポッターには悪いが私は少し遠くから彼らを見守った。
「私、あの話を聞いたとき――もっともみんな私が悪いのですがね、自分を責めましたよ。」
白い歯を見せながら話す先生らしき人にポッター自身も困惑し私も首を傾げた。
そしてポッターが口を開こうとした瞬間、彼に喋らせたくないのか、ベラベラと喋り出す。
「有名になるという蜜の味を、私が教えてしまった。
そうでしょう?『有名虫』を移してしまった。
新聞の一面に私と一緒に載ってしまって、君はまたそうなりたいという思いをこらえられなかった」
…――アホか!
ポッターが否定しようとする最中、私は必死に噴き出しそうになるのをこらえた。
「わかりますとも。最初の一口でもっと食べたくなる――君が、そんな味をしめるようになったのは、私のせいだ。」
ふと、ここまでしつこく話されると笑えなくなった。
有名になるという蜜?
そんなの、ポッターが一番食べたくない味だ。
今彼が話している通り『名前を呼んではいけないあの人』のせいで。
沸々と湧き上がってくる感情に足が勝手に動き出す。
「わかってます。わかってますとも。『週刊魔女』の『チャーミング・スマイル賞』に五回も…―――」
あぁ、だからあんなに視てられない顔なのかと思う反面、自然とポッターの手を取って部屋に入った。
「あ、」
「…――借りはなし。私だって面白い話を聞かせてもらったし……じゃあね」
適当な席につき、チラリとポッターを見れば彼は顔を真っ赤にしていた。先生が席に落ち着いた私たちを確認し喋り始める。
マンドレイク、別名マンドラゴラの泣き声は命取りになる。…結局、彼に声をかけることは出来ずに耳栓をはめ、授業は終わりへと近付く。
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