my diary

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「…………」

…―――ナニコレ?

シャンデリアにぶら下がるロングボトムに突き破られたガラス窓、巻き散らかされたインクとゴミ、そして現在進行系で投げ捨てられる本やカバン。生徒の大半は避難するように机の下に隠れている。


そう教室に戻ってみれば、ピクシーが暴れまわっていた。

予想もしなかった事態に何も言葉が出てこない…

一体、私が出て行った後に何があったんだか…

目が合ったピクシーが襲いかかってくるのをデコピンで跳ね返せば、ため息を吐きたくなった。

そんな憂鬱な私はぶら下がってるロングボトムがシャンデリアごと落ちてくる中、足の速度を落とさずに前へと進む。

そして、大方元凶であろう、彼の元で足を止め机をノックする。

「センセ、」

「…ヒェッ!」

机の下に隠れている彼はノックで驚き、しゃがんだまま飛び上がって机に頭をぶつけた。

…はぁ、自分に関係ないことならネタに出来て笑えるが、これは笑えない。

ちょっかいを出してくるピクシーをガシッと握りしめながら、私は机の下で震えるロックハートに視線を合わせるようにしゃがんだ。

「先生、説明して下さいよ」

「ギェーッ!ギェーッ!!」

「!、君は…」

叫んだり手を噛んだりと暴れるピクシーを握り締めている私に彼は目を見開いて驚く。


「…まぁ予想はつきますけどね。
…生徒の些細な発言に先生の驕りが反応して、自身の力量を測り間違った判断をした。
その結果……この事態になった…」

まるで、聖歌のようなチャイムに生徒たちは急いで教室から出て行く。
私は動かなくなったピクシーを放り投げてロックハートを見た。

「な!何を言っているんだ!!私はチャーミング、」

「先生が胸張って自慢出来ることはそれだけですからね」

遮った私は踵を返し教室を出た。

…そう、
きっと、彼の力量は微笑むくらいの価値しかない…

なのに虚勢を張って…彼は何がしたいのだろう。栄誉…名誉…栄光…名声―――

それを手に入れたとて、
使わなければ意味がない…行使しなければ、さもなくば…―――自分が踊らされるだけだ

それは、己の力に見合った剣でないと身を貫かれるということ…――


ふと首に掛けてあるロケットを手に取る。
ペンタグラムをかかれたそれは入学前から身に着けている物で、私が初めて魔法で作った処女作品だ。

普段よりも一際重く感じるも、
当然のごとく、持てない程ではなかった。









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