my diary
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…新学期の始め、ウィーズリー妹から日記を(強制的に)引き取った私はまぁ、何とかなる、と高を括っていたが…
―――ちょっと、サクラ!起きなよ!!涎がつく!―――
…前言撤回だ。なるわけがない。
まったく…私の睡眠を邪魔しないでほしい…――
―――……何を思ってるかは知らないけど、生憎、僕は女の子の息を浴びる趣味はない―――
でかでかと浮かび上がってきたアルファベットに私はため息がでそうになるのを感じた。
「…――分かった、置くよ…」
この日記と筆談?してる間につい、寝てしまっていたらしい…
顔に覆い被さった日記を退ければ浅かった呼吸も深くなり瞼が重たくなってくる。
もう一眠り…―――
「おっっはよぅん!!」
……バンッと扉の悲鳴と甘い声音に、閉じようとした目が完璧に見開いた。
「……は?」
「艶麟ちゃんよ〜っん」
「は?」
「お寝坊さんな、サクラちゃんをお越しにきたの」
「はぁ?」
「だって、他に声をかけようとする子がいなかったんだもの」
何故か、は?の発音だけで私の思ってる疑問に答える艶麟に私はいつの間にかベッドに起き上がって溜め息をついていた。…恐ろしい。
「はぁ〜…――」
「…あらん?」
何かに興味を示した艶麟に大事な物をいじられてないだろうなと目を向ければ、
「…―――この日記、」
速効でいじられていた!予感的中!
と言うか、なんでよりにもよってその日記なのよ!
「どこかで見たような〜…?」
いや、そんなにマジマジと見なくていいから!
「…艶麟、勝手に人の物を触らないで」
「ごめん遊ばせ…って、着替えるの早いわね!」
「早く行くよ…」
艶麟だけを部屋の外に出し、かつ私が安眠できる方法はないことはない。
しかし時間をかけて説得すればなんとかなると言う方法だから、私が部屋を出て必然的に彼女も部屋を出ることの方が断然合理的!
時間も労働力も断然合理的!
寝起きの状態で瞬時にここまで計算出来るなんて…
「フッ……」
我ながらなんて、
ガツンッ
「フグッ!?」
「、あらあら。壁にぶつかるなんて、サクラちゃんはまだ目が覚めてないのねん」
「…………」
なんたる不覚…
「それとも天然かしらん!」
カワイイ!なんてはしゃぐ艶麟に私はげっそりとして、気付いてなかった。
焦りのあまり、日記を部屋に置いてきてしまったことに。
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