my diary
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「…もう十月、か…」
人が少なくなった大広間で私はパンをかじりながら呟いた。
「まだ十月、じゃなくって?そんな言い方をするなんて、何かあるのかしらん?」
そして何故かグリフィンドールの席に座り、私の隣でサラダを食べている艶麟。
「…学校始まって、一ヶ月たった」
「あらあら…
サクラちゃんは半月もあれば、学校は充分みたいねん」
「…三ヶ月でも充分よ」
食べ終わったと同時に席を立った私に艶麟はつついていたサラダを置き席をたった。
「…朝食はもういいの?」
「だって妾、もうお腹いっぱいだもの」
尋ねながら広間をでた私に続く艶麟は満足そうに笑った。
少ししか食べてない彼女の発言を不思議に思ったけれど、先に食べていたのだと納得した私は人とぶつからないように改めて前を見た。
「…そう、…ごめんなさい」
「?」
「…その、付き合わせて、しまって、」
他人に気を使われるなんてあまり良い心地がしない。
ましてやそんなこと、されたことすらなかった。
「まぁ!サクラちゃん照れちゃって、カワイー!」
「ちょっ、」
抱きついてきた艶麟にバランスを崩しながらもなんとか持ちこたえる。
「今日一日、沢山遊びましょうねん」
周りからの痛い視線を受けて顔をしかめていると嬉しそうに話した艶麟の内容にふと違和感を感じた。
「……一日?」
「えぇ、一日よん
だって今日は、
……土曜日だもの」
近くにある艶麟の笑顔には悪気がないことは分かっている。が。
「……土曜、日…?」
「?」
土曜日は、昼まで寝るという習慣が、私にはある。
「!、あぁんサクラちゃん!待ってぇ」
「……」
……最悪、寝ぼけてた!
「そんなに怒らないでぇん」
「……」
そうだ、明日は土曜日だからって夜遅くまで日記に書き込んだったんだ!
「ヒドいわん」
「……土曜日なのに、起こしたあなたは酷くないんだ?」
「うぅ、サクラちゃんコワい」
足を止めて艶麟を見れば、およよ、と嘘泣きをしている。…見なきゃ良かった。
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