短編

□愛の魔法だと信じてる…
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「何、してる」

命令口調で問いかけてきた男の子にあたしは首を傾げる。


「何って…お人形と遊んでるだけだよ?」

あたしはついこの間この建物に入って来たばかりで何も知らない…

「…遊んじゃダメ?」

もしかしたら、遊んじゃいけないのかと思ってあたしはお人形を見つめた。

「…それ、お前の玩具だな?」

「玩具なんかじゃないっ!たった一人のあたしのお友達!」

「…――フンッ」

男の子は鼻で笑うとあたしのお人形を奪った。


「あーっ!返してよ!」
やっぱり女の子と男の子の力の差があるのかな…

なかなか奪い返せない…


「〜〜〜っ!…―――なんで、返してくれないの?!」

キッと睨めば男の子は純粋に驚いた表情をした。

「お前は僕が怖くないのか?」

「怖くなんかない!返して!」


「お前はこの赤い目をどう思う?」

「知らない!返して!」

必死に取り返そうとしたけど、全然歯が立たなかった。けど、それでもあたしは諦めなかった。

「返してよ!」

「分かった…――」

そう言った男の子にあたしは笑顔になった。

だけど、




「…――お前はバカだ」


次の言葉にあたしはまたまた怒りを感じた。


「お前みたいな危機感を持ってない奴は真っ先に死んでゆく、」


「うるさいっ!あたしのお人形返してよ〜〜〜っ!」


「なっ!?」

叫んだ途端、お人形が光を発し、男の子が驚いて手を離せば輝いたままあたしの手の中に戻ってきた。


「やっぱり、このお人形はあたしが好きなのよ!」

帰ってきたお人形を抱き締めてあたしは続けた。

「ママはいつも男の人に襲われてた…あたしは止めようとしたけど、無理だった。

でもね、ある日あたしが襲われそうになった時にこの子が助けてくれたの!」


ギュッと抱き締めればお人形が抱き締め返してくれた感じがして嬉しくてもっとキツく抱き締めた。

そんなあたしに男の子は暫く固まってたけど、


「まさか…――僕以外にもっ…お前みたいな奴が、」

悔しそうにうろたえてあたしを睨み付けた。

その態度に何か言いたかったけど、それよりも喋った内容が気になった。

「…――僕以外にもって?…――まさか、貴方もお人形に…お友達が、」

「いる訳ないだろ馬鹿」
…何よ、そんな言い方をしなくても良いじゃない…――

「お前は、選ばれた人間なんだ、特別な力を持ってる…」

とても悔しいのか、単語を区切って渋々と話す。










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