短編
□男子会
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とある、三本の箒で…
「お姉様、バタービールの追加をお願いします」
空になったコップを少し持ち上げ胡散臭い笑みを浮かべるのは、トム・リドル…
「おいおい、どうみてもババアだろ……」
そう呟き眉を寄せたオリオンにリドルは分かってるよと笑みで返す。
「オリオン、貴様…年下の癖に我が君の趣味に口出し、」
「アブラクサス、」
遮ったリドルは笑みを浮かべている。
「我が君!…趣味は人それぞれだと私は思います!」
何を思ったのかそう言いきったアブラクサスはどや顔でリドルを見た。
「、そう」
「っ!?」
「…アブラクサス?」
短く返事をしたリドルに足を踏まれたアブラクサスは身悶え、オリオンはそんな友に首を傾げる。
「だ、大丈夫だオリオン…」
「そおか?」
伏したアブラクサスにオリオンが気にかける隣でリドルはお礼を言って運ばれてきたバタービールに口を付けた。
「なぁ…思ったんだけどよ、お前らホントに健康男児かよ?俺、なんか心配になってきたわ」
どこか呆れたようなオリオンに二人は一瞬顔を見合わせアブラクサスが尋ねた。
「…何の話だ」
「アブラクサスには婚約者がいるけどよ、我が君は趣味とか言ってるじゃん?…――溜まったらどうすんの?」
「…オリオン、お前は僕を求めて群がってくる女が目に入らないのか?」
バタービールをゴクゴクと飲むリドルの姿がオリオンの目にはやけに輝いて見えた。
「おい、まさか、そんな…嘘だろ?あんな人数を…」
「…フン、」
「…すっげぇ…――アブラクサスはどうよ?愛しの婚約者さんとは順調?」
「な、なな、何を言うか、オリオン!貴様と違って私はちゃんとした段階を踏んでだな、」
「…――アブラクサス、さてはお前…」
顔を真っ赤にし、妙に饒舌に語るアブラクサスを見るオリオンは目を細めた。リドルはというとバタービールが温くなる前に飲み干そうとしてあまり気にしていない。
「な、なんだ…――」
「抱いたことないだろ!!」
「っ!?!?」
ワタワタと慌てるアブラクサスにオリオンはやっぱり、と今度こそ呆れて溜め息をつく。
しかし、
「…―――おかしいな…」
一人で飲んでいたリドルがふと、そんな言葉を零した。
「わ、我が君…?」
「?…なんだよ?」
「…アブラクサスはもう非童貞な筈だ」
そう言ってコップに口を付けていたバタービールを飲み干す。