短編

□私がモテないのはどう考えてもリドルが悪い
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「ふ〜……」

嫌なことがあれば私はぐっすりと睡眠をとるタイプだ。

決して現実逃避などではなく、戦略を練る為の脳の休憩だ。

だが、最近眠れなくなった。
理由は、この間の出来事があまりにも、……言いたくないな。

とにかく、もう忘れよう!
相手だって忘れてるのかもしれない!

第一、顔を見られてないしそんな印象には……って、顔見られてないじゃん!!

つまり私ってバレてないじゃん!
こんなこと、何で今まで気にしてたんだろ!
焦る必要なんてない。

まだまだ余裕っしょ。


「……ん?あれは…」


「きゃー!トム!今日もかっこいいわよ!」

「ありがとう、ドロシー。君も可愛いよ」

「あ〜ん、ずるい〜、あたしだって可愛いよね?」

「勿論さ、ジル。君はいつ見ても……」

……はっ!まずい!安心してる場合じゃない!

思い出した!
私、友達いないんだった!
ってなんか一人言ってて寂しくなってきた……


「おや、ななしか。おはよう」

っ!?

話しかけられた!?しかもダンブルドア教授!?

あ、挨拶をしてくださったから、し返さなしきゃ……

「っ、」

し、深呼吸して、

「……」

「、」

おはよう、ございます、だ!

「……?」

「うっ、」ペコッ


「うむ。よい一日を」


あぁあああっ。

何だよ!!お辞儀だけって!!

ヤバい!まさか、私って自分で思っている以上に話せないのか!?

友達作るってレベルじゃねぇ!!

まずはトークだ。


私が最も自然に話せる相手……


「ふぅ、(あの馬鹿共の相手をするのはホントに疲れ……)っ!?」

「リドル、トークしよう」

「……僕が来るまでずっと部屋の前にいたのか」

「リドル、トークをしよう」

「っ、……分かったから。今度からは談話室か部屋の中にいろ」




「で、何だ。話とは(嫌な予感しかしない……)」

「……うん。私ね、誰とも話してないからさ。話す練習に付き合って貰いたくて……」

「……友達と話せば、」

「いると思いますか!?」クワッ

「っ、……友達がいない奴なんていないだろ」

呆れたように当然だろとばかりに言うリドル。ふざけんな。それは嫌味か。あぁん?!

「はっ、さすが優等生が言うことは違いますね。
毎日侍らせてる女共と一発ヤってるんですよね」

「(なんで敬語、)そんな事はしてないし、興味がない」

「興味がないって貴方、あそこまで女を従えさせていてよく言いますね」

病気なんじゃないのか。……なんか心配になってきた。

「なんだその目(ここがホグワーツじゃなくて孤児院だったら殴ってたのに)……分かった。なら、いつまで付き合えばいい」

「ともだ、いや、恋人ができるまで」

「……無期懲役と同格か、」

「半と……一ヶ月もあれば……」


「(意外とポジティブ)大体、お前と何を話せばいいんだ」

「……私って可愛い?」
「……普通、」

「普通ってどのくらい?中の上?中の中?中の下?」

「、(これを一ヶ月……嘘だろ、これならまだあいつ等と話してた方が)」

「だけどさ、まずリドルの普通ってのを知らなきゃならな……」


一ヶ月後……


「ねぇ、この間あんたら二人だけでホグズミートに行ってたでしょ!?」

「…………」

「えー!もうくっついたのあなた達!?抜け駆け狡い!!」

「…………」

「えへへ」
「ふふ……」


「………うっ、」

悲しくなんて、ない。私はまだまだこれから、


「おや、ななしか。こんにちは」

い、いつかのダンブルドア教授!!しかもデジャヴ!

「う、う、」

「……?」

「こ、こんにちは、へへへ」

「あぁ、今日もいい天気じゃ。それじゃあの」

!!

やったぁ、遂に、遂にっ、会話が出来た!


あぁ、リドルに何かお礼しなきゃな。
何が良いか……


「あのさ、リドル。お礼……」


「トムって賢いんだな。俺にも教えてくれよ」

「私も私も!」

「いいよ」

「あー、狡いわ。あの、今度の休み暇かしら?
その、良かったら勉強するついでに遊びに行きましょうよ。ね?」

「いいよ。今度の休みは空けておくよ」

「貴方こそ狡いわ。私も一緒に行きま……」



「……ふぐっえぐっ、リドルのばあかあ、」





私がモテないのはどう考えてもリドルが悪い




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