創作

□天使
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「うるせぇな!おいお前らやっちまえ!」
「「はい!」」
私は暴走族のヘッドをやっている。
今返事したヤツは私の部下たちだ。
そいつらがボコってるのは警官。私が無免許だの何だのって言いがかりつけてきたから草むらに引きずり込んでボコっている。
「ねぇさん!こいつ結構金持ってますよ!」
私の右腕の芳樹が言った。
「とっときな。お前にやるよ。」
「まじすか!?おし、お前ら今日はおごりだ飲め飲め!」
「「あざーっす!」」
「ねぇさんもどうすか?」
「いや、私はいい。私は少し走ってから帰る。」
最近はこんな生活に飽きてきた。面白いことがたくさんあるってきいてきた池袋。
強いやつがたくさんいるっていうから来たのにそんなの嘘っぱち。
「はぁ、つまんないな。」
もう、暴走族なんてやめて、ちゃんと学校通って親安心させてあげようかな…
そんなことを思っていた矢先の事故だった。
トラックが信号無視して私のバイクに突っ込んできたのだ。
事故の原因は相手の飲酒運転。
今まで私たちを取り締まるだけのウザイだけだった警官に
今日までちゃんと仕事をしてほしいと祈った日はない。
今まで信じてなかった神にも祈った。
最後に浮かんできたのは芳樹の顔だった。
「さよなら、芳樹」
これが私の最後の言葉だったんだろうな…

次に目が覚めたときには私は一面真っ白の部屋にいた。
あ、病院かな?と思ったけどちがった。
だって、目の前に、羽の生えた女の子がいたから。
「こんにちは。新入りさん。私は天使よ。」
んなこと見たらわかるっての。
白い羽生やした悪魔なんていたらキリスト教徒がかなしむぞ!
「こんにちは。」
「暴走族でも挨拶はできるんだ。」
意外そうな顔をされた。ちょっとカチンときた。
「それは、人間として当然のこと。」
「あら、でももうあなたは人じゃないんだよ。」
すごく意地悪な顔をされた。
カチンを通り越してブチギレそうだ。
「人じゃないってなに?死んだってこと?」
「そういうこと。」
「ふーん。」
反応が薄いことに少しつまらなさそうだ。ザマーミロ。
「ねぇ。あなたは地獄行きよ。」
反応を期待している顔。だけどそんなことお見通しだっての。
「あっそ。」
「あっそって、あんた地獄行きなのよ!?何でそんなに落ち着いてるの!?」
「あんだけ人傷つけといて天国いけるんだったらそいつが死んだときに恨まれるっての。」
「あなたの大切な人がこっちに来るとしても?」
それを聞いたとき、最初に浮かんだのは芳樹の顔だった。
「ちょ、まてよ!なんで芳樹がこっちにこなきゃいないんだよ!芳樹は関係ないだろ!?」
「罪を犯したものには最大限の責め苦を。それが地獄よ。」
私の反応に予想通り、といううれしそうな顔をしたが、そんなことかまっていられない。
それより、芳樹がこっちに来てしまうって…
そんなこと許されない。そんなことさせるわけにはいかない。
「まてよ。芳樹がこっちに来ないようにするには!天国に行くにはどうしたらいいんだよ。教えろ!」
すごく楽しそうな顔をしている。こいつ絶対天使じゃねぇ。悪魔だ。
「教えてください。でしょう?まぁいいわ。私の言うことを聞いてくれた私の権限であなたの大切な子、芳樹君?をこっちにこさせないであげるわ。」
「本当か!?」
「ええ、そのかわりまずは ( ・・・ )、百年間は私の玩具でいてね。新入りさん。」
ここから、わたしの悪夢の百年間が始まった。
あいつにたてついたヤツを消すなんて日常茶飯事。
芳樹…私がんばりたいけど、もうだめかもしれない…
「今日は何をして遊ぶ?私の玩具さん。」
ほら、悪魔の声が聞こえてきた…

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