創作

□オフ
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「なぁ、池谷」
「修?どうしたんだ?」
「なぁ、今日、家行ってもいいか?」
HRのあと。修が、晴紀のところへと向かってきた。
「別にいいけど。イキナリどうしたんだよ?」
「明後日の試合について。最後の試合だろ。バッテリーとして確認もしときてーしさ。」
「ああ、そういうことならいいぞ。悪い夕菜。今日、キャンセルでいいか?」
「えぇー!!今日久し振りのオフじゃん!大野木空気よめよー」
「あ、ごめ・・・」
夕菜は駄々をこねる子供のように修を睨む。

そんな夕菜にめんどくさそうな目をむけ、
「いいだろ、今度埋め合わせする。ほら、修行くぞ。」
晴紀は自身の彼女である夕菜の約束をキャンセルし、自分の荷物を持って立ちあがった。
「ちょ!晴紀!!」
手をつかまれてそのまま引きづられるように教室を出る。

夕菜の目が、疑うような視線が修にはとても冷たいものに感じた。

そのままお互い無言で廊下を抜け、駐輪場まで出てきた。
二人の間には居心地の悪い沈黙が続いたままだ。
晴紀の顔は表情が読めず、修はまだ怯えたまま。

そんな空間の中、自転車の鍵を探しているときに、晴紀が口を開いた。
「わるいな、夕菜が。」
「いや、俺が悪いんだし。しょうがないよ。ごめんな。彼女と約束してたんだろ。行ってくれれば明日の帰りでも良かったのに。」
修は申し訳なさそうに言う。
「いや、別にいいんだ。試合前最後のオフだから今日はゆっくりしたかったし。」
「なら、なおさら悪いじゃんか。いいよ、明日にしよーぜ。」
「なにいってんだよ。お前とゆっくりしてぇの、俺は。」
そういって晴紀は修の頭をなでた。
瞬間。修の顔がボッっと音が立ちそうなほど赤く染まった。
「なっ!!なにいってのはお前だろ!?つーかここ外だし!!」
「だから?もう人なんていねーよ。つーか俺んち来るだろ?早くいこーぜ。」
「・・・うん。」

(本当は、久し振りのオフを彼女と過ごすって聞いて。そのことにヤキモチ焼いたなんていえるわけがない。)

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