黒子のバスケ
□【逆襲よろしく】
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今日はエンドカードの撮影の日。
僕が撮影現場に入るとすでに黄瀬君がいた。
そして黄瀬君は僕を見つけると満面の笑みで駆け寄ってきた。
現実には無いはずなのに
耳とぶんぶんと振られた尻尾が見えてしまうから不思議だ。
「黒子ッち−!!」
「なんですか?黄瀬君。」
「見つけたから来ただけッス!」
「そうですか。
それにしてもなんというか、すごいでね。」
初めてスタジオで写真を撮るから少し不安できょろきょろしてしまう。
「そうッスか?
これは撮影だったらふつうっスよ〜」
そういって僕の頭を撫でてくる。
「黄瀬君は慣れてるからですよ・・・
普通の人だったらきっとびっくりします。
あと頭撫でないでください。」
「えぇっ!そ、そんなぁ・・・
黒子っちの頭撫でやすいんスよ〜」
「知りませんよ、そんなこと。
ほら、撮影やるんでしょう?」
「そうっスけど〜」
まだぐずる黄瀬君をセットに押しやる。
そして撮影が始まった。
僕は水色のラインが入ったカーディガンで中は黒のVネック。
黄瀬君は紫のストールにシャツでその上にベストを着ている。
紫のストールってそうそう似合う人はいなさそうなのに
似合っていてとてもかっこいい。
「はーい、じゃあなんとなくそれっぽいポーズお願いしまーす!」
カメラマンのアバウトな要望を聞いて僕は嘆息する。
(それっぽいってどれっぽいんでか・・・)
「ん〜じゃあこんなのはどうすっか?」
そういって黄瀬君は僕を左手で肩の高さまで抱き上げた。
右手にはバスケットボールをもつ。
「き、黄瀬君!?」
イキナリ視界が急上昇して驚いた。
「いいじゃないっスか〜黒子ッちかるいし。」
いくら僕が小さいとはいえ同い年の男子を
そこまで軽々と持ち上げるなんてどんなバカ力ですか・・・
「そ、それだ!そのまま動かないで!」
カメラマンが興奮したように何度もシャッターを切っている。
「だ、そうっスけど?」
「・・・あとで覚悟しておいてくださいね。
逆襲してあげます。」
すでにこっそりと見えないように首筋をつねっていたりするのだが、
効果はないのか痛みの表情はひとかけらも見せない。
「ん、黒子っちの逆襲は可愛いッスからいいっスよ。」
「その余裕なかお崩してあげます。」
「はい、逆襲よろしくっス。黒子ッち。」
撮影後、
「まったく黒子ッちは・・・スッゲー痛いの我慢してたんスから・・・」
首をさすりながらいう、黄瀬君の呟きを僕は知らない。