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□Le minuit 〜Alice ver 〜 2
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客室に着いて一息ついていると、グレイがやってきて茶葉をくれた。
ナイトメアが私にプレゼントしようとわざわざ取寄せたらしい。
因みに、そのナイトメアは倒れてしまったという・・・。
届けてくれたグレイに礼を言いドアを閉める。
さて・・・・・・。
「ナイトメアがわざわざ取寄せたってことは・・・やっぱり高級品よね・・・」
これを一人で飲むのは勿体ないような気がするしつまらない。
でも、エリオットとお茶をしたら、これでもかというほどのにんじんデザート責めにあいそうな気がする。
比較的平和にお茶会をするなら、ブラッドとするのがいいだろう。お茶会のときはセクハラもそんなにしてこないし・・・。
夜にお茶会をするとして、一応相手の都合を確認した方がいいだろう。
ブラッドにも予定があるかもしれない。
私は茶葉を置いて、隣のブラッドの部屋を訪ねた。
・・・戻ってきているかしら?
少し控えめにドアをノックする。
「なんだ?」
しばし間を置いてブラッドの声。
ドアを開けて顔だけ出す。
彼は眠る直前だったらしく、ラフな格好をしていた。
「おや、お嬢さんか。どうかしたのか?」
いつもと同じだるそうな声。
「・・・休む前にごめん。さっきナイトメアから茶葉を貰ったから、夜になったらお茶会でもどうかしら?」
「ああ。そうしよう。・・・お嬢さんはこの後は出かけるのか?」
あっさり了承して、そんなことを訊いてきた。
「?少し休もうかとは思っているけど。どうして?」
私が首を傾げるとブラッドが言った。
「さっき、敵対組織の男と会っただろう」
その言葉に、微かに顔が強張った。ブラッドには気付かれただろう。
「ああいう輩も多いから、一人で出歩くのは控えなさい。塔の中ならあの芋虫が手を回すだろうが、外は危険だからね」
ブラッドの瞳に剣呑な光が見えた。
「・・・わかったわ。なるべく気をつける。じゃあ、また後で」
ドアを閉めて溜息を零す。
いきなり外出に釘を刺されてしまった。実は、ちょっと散歩にいこうかな〜と思っていたのだ。
でもまあ、塔の傍をちょっと見るくらいなら構わないだろう。
私はそのまま外出することにした。
ちょっとのつもりが二時間帯もフラフラとしてしまった・・・。
お茶会用に何か買っていこうと思って、お店を何軒か見ていたらあっという間だった。 幸い、夜の時間帯はやってこなかった