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□Le serment
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 秋の帽子屋屋敷では思い出したようにハロウィンパーティーが行われるが、今は屋敷詰めの構成員向けに行われていた。
 アリスはブラッドから渡された魔女の衣装を着て、給仕を行っている。
 本当はいつものメイド服にしたかったのだが、何故かエリオットや双子達、同僚達にまで却下された。
 さすがに帽子は邪魔になるのでとっている。
 「お姉さん、お姉さん!そんなのいいから僕達に構ってよ!!」
 「そうそう。あっちにいいお酒もあるんだよ」
 ディーとダムがアリスの傍にやって来てじゃれ付く。
 「ちょ・・・っ!危ないから!」
 危うくパンプキン・プティングの皿を取り落としそうになり、アリスは慌ててそう言った。
 無事に皿をテーブルの上に置き、小さく溜息を吐く。
 「もう。落としたらもったいないでしょ」
 アリスが言うと、双子達はしゅんっと項垂れる。が、すぐに立ち直ってアリスを別のテーブルへと引っ張っていく。
 其処には様々なワインが並んでいた。
 「ボスが気前良く出してくれたワインなんだ」
 「どれもヴィンテージものだよ」
 ディーとダムは楽しそうに説明し、どれから飲もうかと物色している。
 アリスも酒は嫌いではない。
 しかし、何故か今は飲む気になれなかった。
 
 (なんか気分じゃないのよね・・・)

 楽しそうにワインを物色している双子達に気付かれぬよう、そろりそろりと後退する。
 「・・・何をしているんだ?お嬢さん」
 横から声をかけられて其方を見ると、吸血鬼の衣装を着てワイングラスを片手に持つブラッドがいた。
 アリスはちらりと双子達に目をやる。ブラッドはそれで大体のことはわかったらしい。
 「なるほど。こちらにおいで、お嬢さん」
 ブラッドがアリスを先導するように歩き出す。
 ボスであるブラッドに呼ばれたとあれば、双子達も文句は言うまい。アリスはブラッドの背中を追った。
 
 ブラッドはパーティー会場である大広間のドアをくぐり、会場を出てしまう。
 「ブラッド、いいの?」
 「ああ。私が居なくても充分楽しめるだろう」
 アリスの問いに、ブラッドはだるそうに答える。
 そのままブラッドはアリスの手を取り、自室へと向かう。
 「君も、少し静かな場所でのんびりすればいい」
 ブラッドの部屋は静謐な空気に包まれている。
 アリスはその空気に触れてホッとする自分が居ることに気がついた。
 ブラッドが持っていたワイングラスをテーブルに置く。
 ソファに座ってそれを見ていたアリスは、そっとそのワイングラスに手を伸ばす。
 双子達に言われたときは飲む気にならなかったのに、何故か今は飲みたい気分だった。
 「ねえ、ブラッド」
 マントを脱いでいるブラッドに声をかける。
 「ん?」
 ブラッドが振り返る。
 「私も飲んでいい?」
 ワイングラスを片手に尋ねれば、ブラッドは面白そうにアリスを見て頷いた。
 「ああ。今、新しいグラスとワインを用意しよう」
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