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□猫はお好き?
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 「たまたま庭に入り込んだ猫と遊んでたってだけで、ねちねち文句言うなんておかしいでしょう!?」 
  秋の夕方の薔薇園はより一層、紅が映える。
 そんな中でアリスは遊びに来たビバルディとお茶をしていた。
 ブラッドは仕事であと一時間帯は帰ってこない。
 「ほんに・・・心の狭い愚弟だこと。猫に嫉妬など馬鹿馬鹿しい。お前も、あんな愚弟より猫のほうが良いじゃろう?」
 「猫のほうが大人しいし、可愛いわ」
 ビバルディの言葉にアリスは即答する。
 ビバルディもティーカップを傾けながら頷く。 
 「しかし猫といえば・・・」
 ティーカップをソーサーに戻し、ビバルディはじっとアリスを見つめた。
 「わらわはたまに、お前のことが猫のように思えるぞ」
 アリスがきょとんとした顔をする。
 「自由気ままにわらわ達の所へ来てはふらりと帰って・・・。猫のように冷めたところもあるしな」
 「・・・そうかしら?」
 クッキーを齧りつつ、アリスは首を傾げる。
 すると、ビバルディは何かを思いついたのか妖しい笑みを浮かべた。
 そしてアリスの隣にやってくると、耳元で囁く。
 「なあ、アリス。面白い遊びをしよう」
 その言葉を聞いたアリスの背を、冷たい汗が伝っていく。
 頭の中で警鐘がガンガン鳴っている。
 危険すぎる。逃げなければいけない。
 そう思いながらも、ビバルディの妖しい魅力には抗えない。
 「お前はいい子じゃな・・・。大丈夫、痛くはないからね・・・」
 アリスの意識が朦朧としてくる。
  
 (まずい。いろんな意味でまずいわ・・・)

 そう思いながらも、ふわふわとした浮遊感に身を任せる。
 そして、それは唐突に終わりを告げた。
 「ほら、お似合いじゃ」
 楽しそうなビバルディの声に我に返るアリス。
 「・・・お似合いって・・・何が?」
 目を瞬かせながら、アリスは尋ねた。
 ビバルディは何も言わず、笑顔でアリスの頭を撫でた。
 ・・・撫でたのだが、何か違和感がある。
 アリスは恐る恐る自分の頭に手をやり、それの存在に気付いて青くなった。
 「・・・・・・ビバルディ・・・・・・」
 「ああ、お前にはよく似合っているよ」
 楽しそうに言って、ビバルディは更にアリスの頭を撫でる。・・・正確には頭に生えた耳を。
 アリスの頭には、いつの間にか可愛らしいネコ耳が生えていた。
 「なんてことしてくれるのよっ!早く元に戻して!!」
 アリスが涙目で言った途端、時間帯が変わり昼になる。
 「ああ、時間帯が変わったな。わらわは城に戻る事にしよう」
 椅子から立ち上がるビバルディの腕を、アリスは必死に捕らえた。
 「戻してから帰ってよ!」
 「大丈夫じゃ。数時間帯で戻る。それで愚弟を驚かせておやり」
 にっこり笑ってビバルディはアリスの手から腕を抜くと、そのまま城へと通じる道を足取りも軽やかに歩いていく。
 残されたアリスはただ呆然とするしかなかった。
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