本棚

□本音
2ページ/2ページ

 ブラッドは、アリスが自分の顔を見ていないことに安堵した。
 口元が緩むのを抑えられない。
 普段のアリスならこんなことは決して言わない。睡魔に襲われ、夢と現の狭間にいる今だからこそ聴けた言葉だ。
 「・・・本当は・・・ブラッドとずっと一緒にいたいの・・・」
 そう言ってアリスは目を閉じ、ブラッドに凭れ掛かって眠ってしまった。
 ブラッドはくすりと笑い、アリスの頭を撫でる。
 そして毛先の水分をタオルで取ると、そっとアリスの体を横たえた。
 「起きたら憶えていないんだろうな。全く、こんな時しか素直にならない困ったお嬢さんだ」
 そう言ってブラッドは、アリスの唇に触れるだけのキスをする。
 「・・・おやすみ、私のアリス・・・」
 ブラッドはそう囁いてアリスの隣に身を横たえ、彼女を抱き締めて眠りについた。




 
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ