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□本音
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ブラッドは、アリスが自分の顔を見ていないことに安堵した。
口元が緩むのを抑えられない。
普段のアリスならこんなことは決して言わない。睡魔に襲われ、夢と現の狭間にいる今だからこそ聴けた言葉だ。
「・・・本当は・・・ブラッドとずっと一緒にいたいの・・・」
そう言ってアリスは目を閉じ、ブラッドに凭れ掛かって眠ってしまった。
ブラッドはくすりと笑い、アリスの頭を撫でる。
そして毛先の水分をタオルで取ると、そっとアリスの体を横たえた。
「起きたら憶えていないんだろうな。全く、こんな時しか素直にならない困ったお嬢さんだ」
そう言ってブラッドは、アリスの唇に触れるだけのキスをする。
「・・・おやすみ、私のアリス・・・」
ブラッドはそう囁いてアリスの隣に身を横たえ、彼女を抱き締めて眠りについた。