贈り物

□忘れない
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今回討伐するはずの怪物が
水飛沫の中から現れたのは

「……っ!?
ルーシィっ!!!」

きっと、4mはあるだろう
大蛇の鋭い牙の餌食になった
…腹部から赤い染みをつくった…
ルーシィだった…っ

『グ、レ…っ
逃げ…っ……ガッ』
「………っ!」

ルーシィから…
流れ出る赤は…
大蛇の体を巡った…っ

「………っ
ル―――シィィィィっ!!!」
〈シャアァァァァァァっ!!〉









「……っ」

ここ…は、
どこ、だ…っ

「グ…っ」

体を起こそうとして
痛みが走った

「っ……」

そうだ…
オレはルーシィとナツと討伐系の仕事に行って…っ
ナツに嫉妬して…、ルーシィが追いかけてきて…っ
それで…っ

「……っ」

それで…っ
大蛇が……っ

「…っ!ルーシィはっ!?」

バッと起き上がり
また痛みが走った

『ルーシィは別室にいるぞ』

前から声がして見ると
エルザが壁を背に
此方を見ていた

『今回のことは聞いている。
普段でならあの怪物を一人で倒したことを評価してやるところだ。
…が、お前には失望したぞ。グレイ』
「……あぁ…っ」
『嫉妬で我を忘れ
挙げ句のはてに、ルーシィを大怪我とは…
まだまだ鍛練がなっていない証拠だ』

いつもなら怖いはずのエルザが
今じゃ、なんとも思わなかった
ルーシィを失うと思った…っ
あれに比べれば…っ

『責任をとれ、とは言わない。』
「……」
『一生…
お前の罪を背負うんだな…』
「…あぁ…」
『ルーシィなら、406号室だ。
会ってやれ。』

それだけ言って
エルザは病室を出ようとした

「エルザ…。」
『なんだ』
「オレはルーシィが好きだ。
オレは一生ルーシィを傷付けたことを忘れねぇ。
一生オレが…、ルーシィの傷もろともルーシィを背負う。」
『フッ…
当たり前だ。』
「…ありがとな」

閉められたドアに向かって呟いた

「……」

行くか…

「……」

駒ばれたら…
どうしようか…<コンコン>

「ルーシィ……」

部屋に入れば
ルーシィの匂いがした…

「……っ」

何かが目から流れた

「ルーシィ…っ
ごめんっ」

ルーシィの傍らに寄り
手を握る
温かい……

「グッ…っ
生きて、てくれて良かった…っ
ごめんっ…、ごめんな…っ
ルーシィ…っ」

この温もりを守るためなら
もう何もいらない。
そう…思っちまうんだ…っ

「…っ
次は…っ、守る…、だから…っ
「次は…っ、守る、だから…っ
責任をとらせてくれ…っ」
『…寝てる相手に言われても
返事出来ないんだけどな?』

ギシッと音をたて
体を起こしたルーシィ
舌を出して悪戯っ子のように笑った

『ねぇグレイ?
あたしまだ謝ってもらってないのよね?
【本当はナツが好きなんじゃ】って言われたの』
「ごめん…
あれはその…っ、ごめんなさい」
『あれはその…なによ?
最後まで言わないと
許す気ないからね?』

ニコッと可愛く笑う小悪魔が目の前にいる

「嫉妬、したんだよ…
ナツに…っわりぃか…っ」

照れ隠しで
また変な風に言っちまったっ

『うん。悪い』

何故かルーシィが近づいてきて
そのまま引き寄せられた

「なっ」
『アハハッ照れてるーっ』
「ぉ、お前なぁーっ」
『うふふっ
あたしも、ね
少し…照れくさいんだよ?』

あーっ
なんでお前は一々っ

『ぐ、グ、レ…っ
んぅ…っ』

抑えきれずルーシィに濃厚なキスをした
何度も角度を変えて、舌を絡めた

『んっ、ふっ…グ、レ…っ』
「な、んだよ…」
『今日…、いつもより激しい…っ』
「嬉しいくせに…」
『ん…はぅ…っ』

もう一度キスを贈り
唇を離した

『ね、グレイ?』
「ん?」
『さっき責任とらせてほしいって言ってたね?』
「あぁ、オレは責任が出来ることなら何でもやる」

自分の気持ちを正直にルーシィにぶつけた

『じゃあ、あたしを…
グ、グレイの…お嫁さんにしてほしい…な?』
「…お前なぁっ」

なんつっ
可愛いことを言いやがんだよっ

「つか、ソレは責任つーより
オレの義務だから。
そんでお前はオレのお嫁さんになんのも義務、というか最初から決まってんだよ」
『えーっ!
もっと【喜んで】とか期待してたのにぃーっ』
「じゃあ…、お前を幸せにするよ。
責任もって最後までオレがお前を幸せにする。…だからお前は安心してオレの隣にいろよ。」
『……はい』

真っ赤になりながら
はにかんだ笑顔を見せた
オレも不思議と笑った

『アハハッ…これからあたし大変だなぁ』
「なにがだよ?」
『だって、嫉妬深いグレイが夫だもん♪』
「おまっ、お前なー」
『うふふっ
これからもよろしくねっ!
未来の旦那さん♪』

きっと家庭の主導権はルーシィがもつ気がする…

「たく…っ
よろしくな…未来の花嫁さん』

ま、幸せならそれでいい、か

「じゃ、まずは子供を三人」
『グレイのバカッ
変態っ!!』

まだまだ先は長そうだ…

 
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