贈り物

□隣に並ぶから
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そして月日は流れ…
あたしは中2になった…

『……』

今年もあの季節…
クリスマスイブ…か…。

『……』

あの年から毎年クリスマスイブの夜は彼からもらった薄茶色のマフラーを巻いて、
あの日彼と出会った場所で一人寂しく歩いてる

『…ハッ』

なーんて事するわけもなく(でも毎年マフラーは彼からもらったものを着けてるのは嘘じゃない。気まぐれよ、気まぐれ。)
あたしは今女友達とツリーのイルミネーションを見に来てたんだけど…

『はぐれた、わね…完全に…』

友人と見事にはぐれました…、はい。
というか、あたし入れて四人で来たはずがなんで
あたし一人はぐれる!?

『……』

まっ、理由なんて…

『考えなくても、出てるか…』

彼のことを思い出していてボーっとしていた。なんて格好もつかないわよね…

『はぁ…っ』

白い息…
目の前にはあの日とは少し異なるけど同じツリー…

『……』

あそこに座ってれば…
また会える、かな…?

『ないない…っ』

あり得ないって
何年前だと思ってんのよ?

『………ぁー…』

でも視線はあの日座っていた場所

『ぁ……うっ…』

バッカらしっ

『………っ』

とか思ってるくせになんであたしは…っ

『……はぁ…』

座ってんのかねぇ…っ?
バカか、あたしは…っ

『…虚しすぎ…』

ボソッと呟いて立ち上がった

「あっ、そこの君ぃ〜っ」

ポンッと叩かれた肩
声からして知らないし。
つまりはナンパ

『はぁ…っ
何?』

まあ、あたしが可愛すぎるからナンパしたくなるのもわかるわよ?
でも今すごく虫の居所が悪いのよね…?(ま、機嫌が良くてもナンパお断りだけど)

「君可愛いねぇ〜っ」
「こんな所で一人なんて
彼氏にでもフラれた?
慰めてあげるからついといでよ〜」
「それより君すごくスタイル良いけど
どこかの事務所のモデル?」

勝手に話を進める男達。
一番上の以外まともな話は出来ないのかしら?

『…はぁ…っ』

じゃっ、ここは実力行使で…っ

「おい。」

後ろから肩をグイッと引っ張られ、
トンッと何かにぶつかる。

「あ゛?んだ、てめぇ」

横を見ると、サングラスをした男。
もちろん知り合いにいるわけない(こんな怪しい奴)

「あ゛?」
「ヒッ」

サングラスをした男が少し怒号をあげただけで怯む男達。
弱すぎ…
そんな程度であたしにナンパしようとか100万…いえ、一生早いわよっ

「たくっ、行くぞ。」
『へっ…?ちょっ、は…っ!?』

男達が逃げて行って
(一応)助けてくれた男にお礼言って別れる。普通の流れならそうなるはずが、
何てことだろう。
男はあたしの腕を引いて、歩き出した

『ねっ、ねぇ…っ、ちょっと…!』

普通なら無理矢理払い除けるなんて容易いのに
なんでかな…、危険信号が鳴らない所か、この人なら平気…って思ってる…?

「ハァ…っ、ここなら人気ねぇしいいか…。」

男の声で我に帰る。
気付けば全然人気のない通り
だけど、まだ危険信号は鳴らない。
危険、じゃ…ない…?

「やっと…、見つけた…っ」

男はサングラスを外した。
そしてその顔には見覚えがあった

『ぐっ、グレっ、もがっ!』
「でかい声出すなっ
バレんだろっ」

サングラスを外した
その顔は…
今人気急上昇中のモデル、グレイ。
結構前にジュビアが騒いでて、【ちょっと初恋の人に似てるかなぁ?】って思って
わりとあたしも好きな芸能人だった…

『なっ、ななっ、なん、で…っ』

なんで、グレイがここに!?

「たく…っ
なんであんな所で一人でいたんだよ」
『へっ!そ、それは友達とはぐれて…』

言い終わる前に溜め息をつかれて
【だと思った】と呆れられた
なっ、何この人…っ


 
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