贈り物

□惚れ薬恐ろしや
2ページ/3ページ




「……っ」

やべ…っ

「〜〜〜っ!!!」

き、キスしちまった…っ

『…?』

やべーっ
オレは別にいいけど(どっちかつーと嬉しいし)
でめ、ルーシィにとってファーストキスだったら
どうすんだよ…っ

「……」

ルーシィに泣かれたら
オレ…、
立ち直れねぇかも…

「……」
『…グレイ?』

不安気なルーシィの声に
悩みはどこへやら、
即反応した。

「ん…?
どうした?」
『ぁ、あの…っ
いっ、嫌だ…った?』

嫌なわけねーだろっ!!

「なんでだ?」

なんて事言えるはずもなく
あえて、平常を装う。

『グレイ、悩んでるみたいだし、
き、キスしてから…っ、なんか…また悩んでるし…っ』
「やっ、ちがっ」

泣きそうに俯くルーシィ
それに慌てて弁解をするオレ

「き、キスされたのは、その…っ
お、オレは嬉しかったけど、よ…って、そうじゃなくてっ
悩んでんのは、そのっ
悩んでるわけじゃないんだけど、悩んでるみてぇな?…って尚更意味わかんねぇ、かっ」

オレなんでこんな必死なんだろ

『グレイ…?』

いつものルーシィなら
こんな必死に弁解しなくても
わかってくれてたのに

「あ……っ」

いつものルーシィじゃねぇからか…

「クッ、クッカカッ」

なんか、理由わかったら笑えてきた…っ

『えっ?えっ?』

つまり、オレは…

「ごめんな…
ルーシィ…っ」

目の前にいるルーシィじゃなくて
いつもの【ルーシィ】じゃなきゃ

『え…っ』

オレはダメみたいだ…

「おやすみ…」

次起きたときは

「【ルーシィ】に戻っててくれよ…」

オレの着てた服をルーシィに掛けて
オレは一人カウンター席で煙草を吹かした。





『ん…っ』

あれ…っ?
あたし何して、たんだっけ…っ?
グレイに愚痴を話してて…
あれ…っ?

「よっ
ようやくお目覚めですか、お嬢さん?」

右隣から優しい声がして
右に顔だけ向かせ

『グレイ…』

声と同じように優しい笑みを浮かべたグレイ。なんでかな…、すごく安心する…

『なにが、あったの…?』

あたしが寝てる間もきっと隣にいてくれただろうグレイなら
あたしが寝る前の出来事を知ってるはずだから、聞いてみると
グレイはあたしから目線を外して目を瞑った

「ミラちゃんがお前に出した
オレンジジュースの中に少量の酒が入ってたみてぇで、お前酔ったんだよ。」

【大変だったんだぞ?
お前いきなり泣き上戸になりやがって…っ?】と話を続けるグレイ

『あははっ
ご迷惑おかけしましたぁ』

どんなにリアルに話をつくっても
グレイの嘘を見抜けない
あたしじゃない。
けど、グレイが嘘つくのは大抵…
人のためだから…

「本当に、な…」

あたしはグレイを咎めないし
むしろ、その嘘に乗っかる
それに、迷惑かけたのは本当だろうしね

『迷惑かけたお礼に
夕飯つくってあげようか?』

窓からは夕日の光が射し込んでいて
今が夕方であることを知らせる

「美味しいの頼んだからな?」

寝てる間に掛けてくれたであろう
グレイの上着を返して
二人してカウンター席から立つ

『失礼ね?
あたしの料理が不味かった時なんかなかったでしょ?』
「まぁな」

他愛もない会話をしながら
ギルドを出て、そして買い物して、家に帰る。そして、夕飯をグレイと一緒にとって
グレイに【美味しい】って言わせる。
これがあたしの幸せ

『じゃあ、今日はグレイの好きなパスタでもつくろうかな』
「お前…、食いたいだけだろ?」
『あ、バレた?』
「【バレた?】っじゃねぇだろ?」
『でも好きでしょ?』
「まぁな…」

ほら、望んだ未来が
現実になって
進んでく…

『んふふ…っ♪』

でも、望んだ幸せは
グレイとじゃなきゃ
成り立たないんだから
だから、ずっとそばにいてね?
グレイ…っ



・終わり・
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ