贈り物

□心のリボンを結びましょう
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「大丈夫か?ルーシィ」
『ひえ…っ!?』

コツンッと軽い衝撃が走って意識が現実に戻ると目の前にグレイの顔があった。

『あ、ああああっ』

ピュシューッと思考がショートして顔から火がでるみたいに顔が熱い。

「お前大丈夫か?
顔熱いし、眼だって涙目だぜ?」

心配そうに覗き込む双眸と目があって慌てて離れる。

『だ、だだだ大丈夫っ!!!!』

顔を隠すように両手をふると風がおきて少し冷静になれた気がした。

『ち、ちょっと熱かっただけだからっ』
「は?おいおい、まだ春になったばっかだぞ?本当に大丈夫かよ」
『大丈夫大丈夫っ』

ここへきて今さらだけど、なんであたし必死になってるんだろ?

『………』

そ…っと額に触れる。

『……』

さっきまで額同士が触れ合ってて、少しでも動いたらキスしてしまいそうなくらい近くに顔があって…

『…って』

何妄想(?)してんのあたしいぃぃぃぃっ!?
バカバカバカっ!早く妄想よ、消えろバカあぁっ!!

「ほらっ」
『うえっ!?』

バサッと頭に柔らかい布みたいのを被さってきた。

『な、なに…っ?』

そっと布を剥がすと、それがあたしの上着であったことがわかった。

「帰るぞ。送っから」

それだけ言って歩いていくグレイ。

『えっ、ちょっとグレイっ!?』

急いで上着を着て、慌てて追いかける。

『……』

やっと隣に並んでグレイの横顔を盗み見る。

「……」

いつもと変わらない感じだけど、…なんかつつきにくいというかなんというか…っ

『……』
「……」

ギルドを出てしばらく無言が続く。
なんというか気まずい…

「……」

うう…っ
あたし何かしたっけ…?
ま、まさかっ、あたしの思考が全部筒抜けで怒らせたとかっ!?

『……』

ないない。それはないから。

「なぁ…」
『…っ』

いきなり歩みを止めて口を開いたグレイ。
あたしは慌てて歩みを止めるけどグレイより数歩先で止まった。

「オレなんかした?」

振り向いて目を合わせば真剣な目があたしを射抜く。

『な、んで?』

汗が首筋をツゥと伝った。

「なんかお前さっきから怒ってるみてぇだし」
『べ、別にそんなっ
あたし、怒ってなんかないわよ?』

あれ…、なんであたしこんな焦ってるんだろう…?
確かに怒ってなんていないけど、そこまで焦ることじゃないし

「なんつーか…、お前無理してね?」
『そんなこと「ねぇってオレの目見て言えんのか?」…っ』

あ、たし…、自分がわからない…

『……』
「…ハァ」

無言をつき通すあたしに呆れたのかため息を漏らすグレイ。

「わり。変な空気にするつもりはなかった。」

それだけ言ってあたしの隣を通りすぎる。

『……』

ズキズキと胸が痛む。

『……っ』

つぅーっと頬を濡らした。
あぁ…あたし…

『…っ』

知られたくなかったんだ…っグレイに…っ
グレイに、この醜い感情を知られたくなかったんだ…っ

『無理してるわよっ!!!!』

グレイの背中に向かって叫んだ。

「ルー『グレイの前では"良い彼女"を演じていたかった!!』」

振り返ろうとするグレイを制すようにその背中を抱き締めた。

『こんな…っ』

ジュビアに嫉妬して必死に自分を守ろうと心の中だとしてもいい加減な理由をつけてグレイに対して酷いことを思った。

『あたし…っ、こわいよ…っ
グレイが好きで好きで…、好きすぎて…っこわい…っ』

グレイを好きになればなるほど大きくなる醜い感情。

『こんな感情いらな…っ』

 
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