贈り物

□心のリボンを結びましょう
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「"いらない"とか…っ言うな…っ」
『…グ、レっ』

あたしグレイに抱き締められてる…
あぁ、なんて安心するの…

「"良い彼女"なんて演じなくていいから…」

無意識のような感覚でグレイの背に腕を回す。

「オレはルーシィがいてくれりゃいいから…
お前がお前であればそれだけで…幸せだから…っ」

痛いくらいの抱擁に頬を濡らしていた水分の量が増える。

『グレイ…っ、グレイグレイグレイ…っ』

好き…っ、グレイが好きで好きで好きで…っ仕方ないの…っ

『好き…っ、愛してる、グレイ…っ、愛してる…っ』

あぁ…、なんでこんな幸せなんだろう…?
こんなに幸せだと…、離したくなくなる…

「ルーシィ…」

あたしを抱き締めていた腕が離れて、少し距離をとって見つめ合う。

『グ、レイ…』

頬に手を添えられ、まるで磁石のように引き寄せ合う。

『好き…』「愛してる」

繋がる寸前に囁かれた愛に少し照れくさくなった。

「……」
『……っ』

触れるだけのキスを何度かした後、また少し距離をとって見つめ合う。
途端に恥ずかしくなって目をそらすと"プッ"と吹き出すような笑い声。

『…っ』
 
睨み付ければ、今日一番の笑顔で"わりぃわりぃ"と言って抱き締められる。

「あまりにルーシィが可愛すぎて、さ」
『は、はははぁっ!?』

"バッカじゃないのっ!?"とグレイの腕の中で暴れれば、少し強く抱き締められて

「お前照れすぎ…っ」

とまた笑われた。

『は、はぁっ!?
い、意味わかんないっ
あたし照れてなんてっ…〜〜っ』

急に上を向かせられたかと思えば、また唇を塞がれる。

『〜〜〜っ』
「ほら、顔真っ赤じゃねぇか」
『こ、これは…っ』

"あんたが急にキスなんて"と言おうとしたけど、さすがに言うのが恥ずかしくなって口の中でモゴモゴと言葉がさ迷う。

「なぁ…ルーシィ…」
『な、に、よ』

またキスされないようにグレイの胸に顔を押し付ける。

「今すっげぇ幸せなんだけどさ、どうしたらいいんだろうな。こういう時」

その言葉に切ないような嬉しいような、対比した感情があたしの中で生まれた。

「オレ未だに片想いかと思ってたしよ。」
『え…?』

片想い…って、あたし達…付き合って、るのよね…?

「ルーシィに好きな奴いるってわかってながら告白したから、あん時玉砕覚悟だったんだぜ?」

"今考えると結構な賭けだったぞありゃ"と可笑しそうに笑うグレイ。
だけどあたしはその事実の後ろめたさに黙って聞いていることしか出来なかった。

「だけど今はルーシィが…オレを選んでくれた。
オレの事で悩んだり、照れたりしてくれる。
それがどうしようもなく嬉しいんだ…。」

泣きたいくらい優しく抱き締めてくれるグレイ。

『グレイ…』

顔を上げて、グレイの唇を塞ぐ。
するとグレイは驚いたように目を見開いた。

『あたしは全然グレイに釣り合わない、けど…、誰よりグレイが好き、愛してる…っ
だから…っ』

"あたしを貴方の彼女にしてください"
そう言って抱き締める。あとはグレイの判断で全部決まる。拾うも捨てるもグレイ次第。
あ、なんかあたしやっぱりズルいかもなんて思ったりして苦笑いが溢れた。

「……はぁぁ…」

大きく息を吐いたかと思えば抱き締める力が強まった。

「オレ一生お前離さねぇかもしんねぇぞ?」

"それでもいいのかよ"と何処か不安気のある声音が耳に届く。

『そんなの上等よ。
それに、あたしは一生あんたを離さないって断言しちゃうけど、あんたこそいいの?』

"後悔しない…?"という言葉は無理矢理飲み込んだ。

「しねぇよ、そんなん。」
『それはそれは、心強いことで』

そうやって軽口を叩き合うけど、内心凄くホッとしてる。
ありがとう…グレイ…


心のリボンを結びましょう


(てかグレイっていつからあたしのこと好きだったの?)
(………さぁーて、そろそろ帰っかぁー)
(あ、こらっ
なんで逃げるのよーっ)




・終わり・
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