贈り物
□あたしの宝物
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朝の7時に起きて、隣にルーシィ、前に息子のアルイが座って、皆で一斉にルーシィの作った料理を食べる。
「なぁ、父ちゃん父ちゃん。」
そんな何ら変わらないある日の朝食時。
ルーシィが席を立った途端にアルイが小声で言ったのだ。
「父ちゃんってさ、母ちゃんのどこに惚れて結婚したんだ?」
この息子、アルイは外見こそオレとルーシィを足して2で割ったような感じだが、性格はまんまルーシィ似であり、好奇心旺盛かつ天真爛漫で常日頃からオレに向かって急にこーゆ質問を投げ掛けてくる。(たぶんルーシィにもしてんだろーな…)
「いきなりなんだ。朝から変な質問すんなよな」
と投げやりな返答を返したところで諦めないのがやっぱりルーシィに似てる。
「"変な質問"じゃねーよっ!
だって母ちゃん確かに綺麗だし(たまに恐いけど)優しいしオレは好きだけど、父ちゃんにはいつも怒ってばっかだろ?」
息子の言葉に記憶を遡ってみる。
「……」
あー…
「確かにお前の前だといつも怒られてんな。オレ」
「だろ?」
服着ないでいたり、だらしなくしてれば当然誰でも怒んだろーよ。あれ、つーことはオレ、アルイの前ですっげぇだらしなかったりするわけだよな?
あー、父親の威厳とかそーゆのが危ない気がしてきた。
「でよ、ジュリのやつに話したら"あんたのお父さんMそうだもんね"とか言いやがったんだぜ?」
ジュリのやつ…っ、さてはリオンのやつにあることないこと吹き込まれてんな…クソが。
あ、ちなみにジュリというのはリオンとジュビアの娘で、アルイとは同い年の幼なじみってやつだ。
「流石に自分の父親がMとか嫌だしさ、って父ちゃん聞いてる?」
「おー、聞いてる聞いてる。」
つか、まだお前等6歳だろ?
なんでMだとかそんな言葉知ってんだよ。
「で、父ちゃんは母ちゃんのどこが好きなんだよっ!!」
短気なのはオレに似た…か。
「んー…。」
口の中にご飯を放り込みながら考える。
あえて言うなら"全部"だけど、それじゃあ納得しないのは目に見えてるし(そこらへんはルーシィ似)
「そうだな…。」
目を閉じて考えれば、思いの外答えは表れた。
「"笑顔"、だな。」
それだけ言って最後の一口を口の中に入れる。
その時にチラッとアルイの顔を見ればなんともいえない間抜け面。
「…………………………はっ?」
やっと口を開いたかと思えばこんなだし。
誰に似たんだかなぁ…。
『ちょっと、二人共だらけすぎっ!!
早く朝食食べちゃいなさいっ!』
とか思っていたら、話の渦中にいたルーシィ本人が戻ってきた。
「オレは今食い終わった。あとはアルイだけだ。」
そう言って逃げるように食器を持って台所に向かう。
「あ、おいっ
ちょっと待てよ、父ちゃんっ!!」
後ろで叫んでる声は無視して食器を水に浸ける。
『朝から煩いっ』
ほら見ろ。怒られてやんの。
「あ、そだっ
母ちゃんは父ちゃんのどこが好きで結婚したんだ?」
さっきオレに向けた質問をルーシィにも…
たく好奇心旺盛なガキをもつと大変だよな…
「……もう一眠りするか…」
静かに口角をあげてから寝室に足を向けた。