贈り物

□放課後の図書室
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妖精学園七不思議の一つにこーゆものがある。
【図書室の2-5の棚の上から2段目の列の真ん中のどこかに表紙に何もかかれていない真っ白な本がある。
その本の中身も表紙同様何もかかれていないのだが、その頁に己の名前と重なるように意中の相手の名前を書いて一週間放置した後、その頁を切り取り誰にも見られないように肌身離さず持っていればその恋は叶う。】
一種のおまじないのような話だが、その七不思議は女子の間では人気だった。
しかし、真っ白な表紙の本を見たことのある生徒はいないに等しい。
なのに、なぜこのような七不思議が広がったのか…

『うっぐぐ…っ』

あたしはことの真相を暴くために図書室にやってきた。(なんか刑事っぽくてドキドキするねっ!!)
だけど…っ

『と…っ、届か、ない…っ』

背の小さなあたしの手は上から3段目のちょい上までが限界で上から2段目のところまで届かない。

『うんんっ』

だけどここは意地でも脚立なんて使うもんか…っ!!

『ほっ!てや…っ!』

図書室ということも忘れてかけ声と共にジャンプする。

『てぃ「なにやってんだ、お前は…」え…っ』

誰もいないと思っていたからいきなりの声に振り返る。

『が、ガジルっ!?』

なんでガジルがここにっ!?
てか似合わなすぎだからっ!!

『なんであんたがっ!?』
「オレがどこにいようと関係ねぇだろーが」

う…っ、た、確かに…っ

「つか、お前ぇは小せんだから脚立ぐれぇ使えよ。」
『ち、小さくなんてないよっ!!』

"ちょっと人より背が低いだけで小さくなんて…っ"と口を開こうとしたら、思いの外ガジルの体が近くに…っ

『ガジ…っ』

"何を…っ"と声に出そうとすれば

「ほらよ。」

ボスッと押し付けられた本

『…は?』

いきなりのことに頭がついてかない。

「取ってやったんだ。感謝しやがれ」

やっと理解出来たと思えば、こんな言葉を向けられるし…。
感謝の心だって薄れちゃうよ…。
でも…

『あり、がとう…』
「おう、じゃーな。」

ボスンッとけして優しくはない力で頭を一撫された。

『……』

少し、少しだけ、ね…?
撫でられた部分が熱をもったみたいに…熱いよ…

 
放課後の図書室


(って…ガジルのやつ、何の本を…………)
(ギヒッ)
(が、ガジルーーーーーーっ!!?)
(ギシシッ)
(何よコレっ!?【老後の歩み】なんてあたしはまだまだ若いんだからあぁぁ!!!)



・終わり・
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