贈り物
□勘違いからの恋
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つり上がった目付きの悪い目はいつもジュビアを見る時には薄く微笑を浮かべた。
「その荷物はオレが持とう。」
『あ、ありがとう…ございます…』
その優しさはいつもジュビアだけに向けられた。
『えっと…なんでしょう…?
この大きなパフェ(?)は…』
「女、というのは甘いものが好き…、なのだろう?」
『確かに好きですけど、ジュビアここまで大きなパフェを食べれるほど食い意地ははってません。
というか、誰情報ですか、それ…』
「……ルーシィ、だ。」
『やっぱり…』
不器用なくせにジュビアに精一杯尽くそうとして失敗する顔はいつも不安に揺れていた。
『ジュビア今度の休みは水族館に行きたいです。』
「水族館、か…。
楽しそうだな。」
たまに困らせたくなって我が儘を言うと、嬉しそうに笑って2つ返事で返答を返してくれる。
『……ハァ』
最初はルーシィとグレイ様の勘違いから始まったお節介からジュビア達の交際は始まった。(詳しく話すのはめんど…、長くなるので省きます。)
最初は“ジュビアはグレイ様が好きなのになんで他の方と交際しなくてはならないのか”と怒りました。
だけど、ジュビアとの交際が始まった時のリオンさんの表情があまりにも普段の能面(失礼だけど)とは違っていたことで言い出すに言い出せず、その間に名付けて【リオンとジュビア交際プロジェクト】(面名はルーシィ)をきっかけにルーシィとグレイ様が付き合いだしてしまい、引き返すに引き返せない状況になってしまった。だけど、
『女心と秋の空…とは言ったものですね…』
その事実に傷付かないジュビアがいて、それにジュビアは戸惑いを隠せなかった。
だけどそれで気付いてしまったんです。
「どういう意味だ…?」
目の前でコーヒー片手に疑問符を浮かべるこの男性をジュビアはいつしか好きになっていたということを…
『…リオンさん。』
「なんだ。」
ジュビアが呼べばすぐに返答を返してくれるのが嬉しくて口角は笑みを浮かべた。
『好きです。』
「………………」
『ジュビアは貴方を心からお慕い申し上げております。』
「……………っ」
沸々と赤くなっていく頬(顔)に満足してまた笑みを浮かべる。
「そ、そそそ、そう、か…っ」
精一杯の虚勢という名の動揺を見せるリオンさんに愛しさを覚える。
「…ジュビア…っ」
『はい?』
顔をあげたかと思えば目を反らされる。
「そ、その…、この間グレイが結婚、していただろ…」
『そう、ですね…?』
あの時のグレイ様はとても素敵だったけれど、それ以上にルーシィが綺麗で思わず素直に褒めれば驚かれた。
「そ、れでだ…っ」
思いだし笑い(というか苦笑)を浮かべているとリオンさんの話の途中であったことを思いだし、聞く。
「正直9つも歳の離れた男となんて、と不安にかられたりもしたが玉砕覚悟で言う。
オレと…、これからの人生を共に歩んではみないか…っ?」
目の前に差し出された小さな輝きを放つ指輪。
『ジュビア、に…、ですか…?』
「あ、あたりまえだろう…っ」
恥ずかしいのか顔を反らすリオンさん。
そんな仕草が泣きそうなくらいに愛しくて指輪を受け取り薬指に嵌める。
『喜んでお受けします…っ』
その言葉に数秒の沈黙の後、思い切り体を引き寄せられて抱きしめられたことを今でも覚えてる。
そして、それから数年…、ジュビアたちは夫婦を卒業して父母となっていた。