贈り物

□もう少しこのままで
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あたしには最近気になる人がいる。
服をすぐ脱いだり、むっつりな所はあるけど、すごく仲間想いで優しい人。
だから、あたし以外にもその人を想ってる人はいるんだろうと予測はついていたし、覚悟もしてた。
だけど…

『ぐ、グレイ様っ!
今日は絶好の仕事日和ですねっ!!』
「絶好の仕事日和ぃ?
…雨だぞ…?」
『こんな日には仕事に行きませんかっ!?
ジュ、ジュビアとふ、ふた…っ』
「(聞こえてねぇわけな…)」

これはないんじゃない?
確かにあたしはグレイの彼女じゃないけど、あたしだってグレイにかまっ……っじゃなくて、あたしだってグレイの仲間なんだから少しはかまっ…だから違うっ!!
えっと、えーと、そうっ!
少しは仲間同士の交流を深めようとか思わないわけっ!?

『ジュビアと二人で行きましょうっ!!』
「………あ?」

グレイのバカっ!鈍感っ、変態ムッツリスケベっ、露出狂っ!!!
ほら、今だってジュビアの話を肝心なとこで聞いてないとかありえないからっ!!
ほんとっ、バカっ!!
てか、どこ見てんのよ、あいつっ

『………?』

ってあれ?
もしかしてあいつ、あたしのこと見てない…?
いやいや自惚れとかじゃなくてね?
なんというか、目が合ってるというか…、えっ?

『……っ』

ガタッと席を立って慌ててギルドの外に出た。…あのまま彼処にいたら、絶対…顔を見られてたと思うから…っ

『/////』

こんな顔…っ
見せれるわけないじゃないっ
あたしの気持ちもろバレよ……っ

『……っハァ―――――っ』

ギルドの裏まで来て、壁に背を預けてしゃがみこむ。

『……っ』

さっき、確かに目があったよね…?
勘違いだったら恥ずかしいけど、確かに目があった。
それが嬉しくて、でも恥ずかしくて、今のあたしはスッゴくしまりのない顔をしてるんじゃないだろうか…っ?
あぁ…、やっぱり席を立って正解だったかも。

「お前、こんなとこで何してんだよ。」

…………?

『…………』

目の前にグレイ…?
ってグ・レ・イ――――っ!!?

『ぎゃああああああああああっ!!!!!』

女らしからぬ声を上げて、後退るあたしを顔をしかめて見るグレイ。

「オレは化け物か」

グレイの声が届かないくらい、あたしの気は動転していた。

『な、ななな、なんでっ!?』

やっと口を開いたかと思えば、どもってるし。
 
「いや、なんかいきなり席立ったから心配になってよ。」

…心配、してくれたんだ…

「あと、顔を赤くしてるのを隠してるルーシィが面白かったから見に来た。」
『それが、第一目的かーーいっ!!?』

その立てた親指を曲げてやりたいと思ったのはあたしだけじゃないと思う(思いたい)。

『てか、ジュ、ビアは…っ?』
「は?」
『あ、や、ほら…っ
さっき仕事に誘われてたでしょっ!?
だから一緒に行くのかなぁー…って……』

何、言ってんだろ。あたし…

「あー、あれか」

なんというか、話の話題完璧間違えた。

「ルーシィも行くだろ?」
『は?』

今度はあたしが驚く番だった。

「お前も行きたいからオレらの方見てたんだろ?」

いや、違うけど。
て、てか、見てるのバレ……っ!?

「ハハッ、行きてぇなら素直に言えば良いだろーが。
そんな照れることかぁ?」

ポンポンと満面の笑みであたしの頭を撫でるグレイ。

『……っ』

それにまた嬉しさ半分、恥ずかしさ半分のあたし。
というかグレイから見たあたしって妹みたいな感じなのかな……?

「ほら、行こうぜ」

手をさしのべられた。

『………』

少しだけ…
もう少しだけ
 
『うんっ!!』

このままでもいっか!!


もう少しこのままで


(あ、ねぇねぇ
あたしそんなにグレイ達のこと見てたの?)
(あ?なんで)
(だって、グレイとさっき目合ったし
ずっと見てたって言われるくらい見てたってことでしょ?)
(あー…、さぁな)
(えーっ!何よ“さぁな”ってっ!!?)
(…オレも見てたから気付いたなんて言えるかよ……っ)


・終わり・
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