贈り物

□恋愛道
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最近のグレイは少しおかしい。

「大丈夫かっ、ルーシィ!?」
『え、ぅ…うん、大丈夫。
助けてくれてありがとうっ』
「そうか、良かった。
…お前になんかあったら困るからな。」

仕事中あたしの不注意でやられそうになった時に助けてくれてグレイ。
確かに仲間だし、怪我とかしたら足手まといになるかもだから、まぁこれはわからなくはない。けど…

『あ…っ!!』
『どうかした?ルーシィ。』
『すいません、ミラさんっ
コップ割っちゃって…』
『あらあら、それは大変ね。すぐに―』
「ミラァーッ」
『あ、大丈夫ですよ、ミラさんっ
あたしがやったことだし自分で片付けます。』
『そう?ありがとうね。』
『いえいえ。』

あたしがコップを割っちゃって素手でガラスに触れようとした時なんて…

「ルーシィ。」
『ん?何よ、グレイ。』
「オレがやるからお前は下がってろ。」
『はっ? でもあたしが―』
「いいから。
…お前には怪我一つさせたくねぇんだよ。」

あの時は胸がキュンとし…、じゃなくて驚いたわ。まさか、グレイがあんなこと言うなんて思わなかったし。
しかも、それだけじゃないのよね。
確かあれは…
 
「なぁ、ルーシィ。」
『何?』
「この仕事二人でいかねぇか?」

グレイと仕事の話をしてた時だ。

『いいけど……、これ報酬は高いけど、二人は危険じゃない?』
「心配すんな、お前には指一本触れさせねぇし、それに…お前は必ずオレが守ってみせる。」
『…そういうことを言ってるんじゃないんだけど…』

あの時は流したけど実は心臓バクバク煩かっ……、じゃなくて心臓飛び出るくらい吃驚したわ。まぁ、とにかく!! 最近のグレイはおかしい!!おかしいのよっ!!

『……ハァ』

でも、それ以上にあたしも…

『えっと…、ルーシィ…?
もう一度言ってくれない?』

悩みに悩んで答えが出せなくて、ミラさんに相談することにした。

『その、グレイのこと、を、考えると…、急に熱でも出たみたいに身体中が熱くなるんです…。』

他の人に聴かれないように細心の注意をはらいながら小声で話す。

『グレイが近くにいるだけで呼吸がし辛くなるし、グレイに触れた暁には…っ』

想像しただけで顔を中心とした上半身が急激に熱を持ち始める。

『ミラさんっ!!』

バンッと机を叩いて、ミラさんに詰め寄る。

『あっ、あたし…っ
なんかのびょ、病気なんでしょうかっ!?』

涙声のあたしにミラさんが苦笑をしながらなだめた。

『えっと、病気ってほどの病気ではないと思うけど…』
『病気、じゃ…ないんですか…?』
『うーん、病気、ではないんだけどぉ…』

困ったように首を傾けるミラさんに不安は募るばかり。

『ある意味病気か―』
『病気なんですかぁ!?』

せっかく座り直したのに、今度は椅子を倒してミラさんに詰め寄る。

『えっとぉ…』

この時ミラは思った“ルーシィってやっぱり鈍いんだ”と…

 
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