贈り物

□Rain
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さっきまでの感動の再開(?)は何だったのか。涙が止んだ頃には室内には不穏に似た空気が流れていた。

「……」

さっきまであたしと同じように涙を流してたのに今はそんな事なかったかのように不機嫌そうに目も合わせないグレイ。

『……』

グレイの不機嫌な理由が何となくわかってしまったあたしは居心地が悪く視線を右往左往とさ迷わせた。

「…ハァッ」
『っ!!』

グレイの重たい溜め息にビクッと体が反応した。

「ルーシィ…。」

ゆっくりグレイに目を向けると、頑なに目を合わせなかったグレイの双眸は貫くように真っ直ぐあたしを見つめていた。

『…ご…め…っ、ごめん…なさい…っ』

急に怖くなってグレイから目を反らした。

『……っ』

責めてくれたら楽だったのに、悲しんでくれたら誤魔化せたのに、見放してくれたら素直に泣けたのに…。

『ごめん…。』

グレイの眼は責めるでも悲しむでも…、ましてや見放すでもなくただ、“なんでこんなことしたんだ。”と怒気を滲ませていた。

「…ハァー」

重く少し長い溜め息。
それだけであたしを不安にさせるには十分で、必死に涙を堪えた。
 
「……怖かった。」
『!』

重い沈黙を破ったのはグレイだった。

「さっきまで笑いあってたのに腕の中でどんどん冷たくなっていく。…怖かった。」

手を握ると指先が少し冷たかった。

「もう二度と起きないかと思った。
もう二度と笑ったり怒ったりしないのかと怒った。
…死んだかと、思った…っ」

グレイの声は小さく震えていた。

『……っ』

振り返りそうになるのを必死で耐えた。
流れる涙を止める術があたしにはなかったから…。

「お前が起きた時、すごく安心した…」

ベッドが小さな悲鳴を上げた。

「本当に…、生きてて良かった…っ」
『う……っ、く…っ』

あたしはあたしを包む体温に涙した。
あぁ…、あたしは今生きてる。生きてるんだ…、って思った。

『ごめんなさぁいっ…!』

涙は止まることを知らず、グレイの腕を濡らし、ベッドを濡らした。

『う…っ、ぅ……ふえぇ…っ』

室内には二人分の涙が滴るのだった…。


Rain




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