贈り物

□夢中で君に触れる。
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※微裏




不注意で指を切った。

『いったーい…ッ』

はむっ、と切った指を食わえるとほぼ同時にグレイがキッチンに入ってきた。

「どうした?」
『指切った。』

切った指をグレイに見せる。
深くはないけど結構血が…

「たく、お前はもっと気を付けて作業しろよな。」
『ごめんなさーい。』

ぺろっ、と舌を出してまるで反省してない。そんなあたしの態度に呆れたのかグレイは重たい溜め息を溢した。

「少しは反省しろよ…」

誘われるように切った指はグレイの口の中に…

『ん…ッ、努力はするわ、よ…。』

グレイに掴まれた手首、止血するために食わえられた指。柔らかな唇の感触…。
グレイを感じる度に鼓動が早くなる。

『ん…、ゥん…ッ』

見せ付けるように切れた傷口をなぞるように舐められれば鳥肌がたつ。

『グレイ…』

もう……ッ

「ルーシィ」

手を引かれ、空いていた方の手が私の顎を捕らえた。徐々に近付く距離。

「ルーシィ…」

とても長い時間に感じた。本当はそんなに時間なんてかかっていないのに早くグレイに触れたいと欲張りを言う“あたし”がそう感じさせたんだ。

『愛してる…』
 
唇が触れあった瞬間、身体は歓喜に震えた。が、すぐに物足りなく感じグレイの首に腕を回し離れぬよう抱き着く。

『ン、ふ…、ハッ、あ…ふんン…ッ』

そんなあたしに答えるかのようにキスは深く激しくなる。

『は、ァ…グ、レ…イ…、好、ん゙…ッ』
「ルー、シィ……ッ」

怪我をした手を掴んでいたグレイの手はいつの間にかあたしの腰を抱き寄せ、あたしの顎を捕らえていた手は腰を撫でるように上り服の中へ…

『あっ…ン、グレ…‥バ、ッ…カ…ッ』

掌を滑らせるようにお腹を何度か撫でると徐々に上にいき、とうとう豊満な胸を包み込むように揉みだした。

『ひゃっ、あん…‥っ、アッ…』

口では憎まれ口を告げるけど身体は嫌ってくらい正直で…、そんなあたしを熱のこもった瞳でグレイが見つめる。

「ルーシィ…」

グレイの瞳が告げる。抱きたいと、愛したいと…。

『グレ、イ…』

息を乱しながら名前を呼んだ。
あぁ…、あたしの瞳もきっと告げている。グレイに抱かれたい、愛されたい…って。

『優しく、して…ね?』
「…どーだかな。」

優しいキスの雨が降る。

「ま、努力はするから…」
 
背中ごしに固い冷蔵庫があたる。

「いただきます。」

この時のグレイの表情は今日一番の笑顔だった。


夢中で君に触れる。




・終わり・
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