ジョジョの奇妙な冒険

□太陽
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「きゃっ。」

「っ・・・。」

落ちたところは真っ暗だ。
・・・おかしいですね。

でもなんだか暖かい・・。
まるで人の上にいるような・・・・、人?

もしや、と思い顔をあげれば
目の前には学生帽を被った目つきの鋭い男性が。

この人が・・・・、空条承太郎?

「・・・お前、誰だ?」

「あ・・、えっと・・。
私は朝霧美麗と申します。
・・・あなたのお名前は?」

「俺は空条承太郎だ。
・・・どうして俺の上に落ちてきたんだ?」

「・・・う・・・。
え、えっと・・・、その・・・・。」

大変、どう言い訳しよう。
まさかスパイしにきましたなんて言えないし・・!

あ、そういえば承太郎さんは・・・!

「私は・・あの。
自分の悪霊のせいだと・・・、思うんです。」

「!
悪霊って・・・、お前も・・・?」

「もしかして、承太郎さんにも悪霊が?!」

うん、我ながらなかなかな演技力だ。
承太郎さんを騙すのは心が痛いけどこれも命令だし・・。

自分と同じ人間がいることに安心したのか、
その後はたわいのない話が弾んだ。

承太郎さんは色々なことを教えてくれた。
自分の母親が毎日説得にくること、
でも自分は迷惑をこれ以上かけられないからここにいること。
そして学校の女子が何故かわからないが自分につきまとっているということ。
鬱陶しくて仕方が無いが、離れてくれないということ。

・・・そのつきまとっているのは多分・・・。
教えてあげた方が、いいのでしょうか・・・?

しばらく話していると、足音。
段々とこちらに近づいてくる。

「・・・、美麗。
少し隠れてろ。」

「へっ?」

そういって承太郎さんは私を承太郎さんの背中へと押し込む。
そこは丁度部屋の角になっていて、私が入り込めるスペースはあった。

足音が止まれば話し声。
何かを話した後、横に吹き飛ばされる承太郎さん。

私の姿が見えてしまった。

私の登場に承太郎さんと話していた人たちは驚いていたが、
承太郎さんを優先させたのか、私には触れてこなかった。

ミコト様の記憶によると・・。
この後は承太郎さんは牢屋から出ることになる、はず・・。

記憶の通り承太郎さんはアヴドゥルさんとの戦いで
牢屋の外に出てしまう。

・・わ、私はどうすればいいのでしょう・・・。

すると、何かを話していた承太郎さんが牢屋の中に入ってきて、
ベッドの上に座り込んでいる私に手を伸ばす。

「ほら、行くぞ。」

「へ?」

「美麗もスタンド・・とやらがあるんだったら、
俺たちと一緒にいた方がいいだろ。」

「は、はい・・。」

伸ばされる手を掴み、立ち上がる。
承太郎さんの手は大きくて暖かかった。

あ・・・、でもこの牢屋はなんとかしなくちゃ。
流石にこんな有様じゃ他の人が可哀想・・・。

そのまま帰ろうとする承太郎さんを引き止めて、
牢屋の前に立つ。

「・・・何をするつもりだ?」

「牢屋がこんなにボロボロだったら
周りの人が可哀想なので・・、少し直します。」

手を牢屋の前に翳して、スタンドパワーを集める。
集まった力は光となって牢屋を包み、
光が消えた頃には、牢屋は元通りになっていた。

それには承太郎さんの迎えにきた人たちも驚いていて。

「お前・・、それ・・。」

「私のスタンドの力です。
お待たせてしてすみません、もう終わりました。」

「・・・ああ。」

未だ腑に落ちないのか、曖昧な返事をした承太郎さんの
後を追いかけ、私は刑務所から出た。
























―――

























承太郎さんの家はとても大きかった。
広いお庭に木造立ての大きな家。

玄関を潜れば、客間に案内される。

承太郎さんは縁側に座っていて、
私はその横に恐る恐る座る。

すると、先ほど驚いていた中の一人、
多分ジョセフ・ジョースターさんだと思う――が
私に話しかけてきた。

「お嬢さん、あなたのことをまだ聞いていなかったな。
わしの名前はジョセフ・ジョースター。
そして横にいるのがモハメド・アヴドゥル。
今お茶を煎れに行っているのがわしの娘、空条聖子、ホリィじゃ。」

「私は朝霧美麗と申します。
いきなり自分のスタンドがおかしな動きをして・・・、
気がついたら承太郎さんのところにいたんです。」

「・・・スタンドがおかしな動き・・?」

「なかなか興味深いですね。」

「うむ。
・・ところで美麗さん。帰る場所はあるのかね?」

「・・・・・ごめんなさい。多分ありません。」

横の承太郎さんが私を見た。
少し驚いたような顔だ、きっとあると思っていたんでしょう。

「何を謝ることがある。
ならここで生活すればよい。」

「・・・・え?」

「学校だってすぐに手配してやる。
いい考えじゃろ、な?ホリィ?」

「ええ、いいと思うわ。
私も娘が出来たみたい!」

そ、そんな簡単に・・・。
いいのかな・・、私。

「・・・やれやれだぜ。」

承太郎さんは呆れたようにため息をつく。

「あ、あの・・よろしくお願いします。」

私が頭を下げれば、ジョースターさんとホリィさんはにこにこと笑っていて、
承太郎さんは私の頭を撫でた。

「よろしくな、美麗。」

「・・・はい!」



























end.
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