ジョジョの奇妙な冒険

□旅
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久しぶりに煙草でも吸おうかと思ってたらすでにDIOが吸ってた。

「DIO、私にも寄越せ。」

「・・・ん。」

手渡された煙草にジッポライターで火をつけ、煙を吸い込む。
ソファに座っているDIOの膝を枕代わりにそのまま横になる。

「寝煙草やめろ。」

「やーだ。」

にしても煙草ってこんなにいいものだったのね。
向こうじゃまだ未成年だったから吸えずに終わったんだよな・・。
あ、あとお酒も呑めなかった・・・。

しばらく無言が続く。
あ、DIO吸い終わった。

「ちょ、私の煙草。」

「わたしが吸い終わったから終わりだ。」

「なんてこったい。」

取られて一緒に灰皿に入れられた、酷い。
・・・煙、なかったことにしとくか、初流乃入ってきたらまずいし。

指を鳴らせば充満していた煙はすべて『なかったこと』になる。
そんな様子を眺めていたDIOが一言。

「・・・・便利だな、それ。」

「・・そうか?」

時止めも結構使い勝手がいい気がする。
私も入門したい。

DIOの腰辺りに抱きつきながらそんなことを考える。

「む・・。
あ、そうだ、ミコト。美麗は報告まだなのか?」

「・・・ん?
・・あー・・、まだだな。」

「・・そうか。」

「どんだけ楽しみにしてるんだよwww」

「だって面白いじゃないか。
ジョナサンの子孫も中々いい奴らが揃っている。
・・・敵同士、だがな。」

どこか遠い目をするDIO。
・・・やっぱりこの世界、原作よりうろジョジョに近いんだな。

「あいつらを殺すことになるのは少し惜しいな・・。」

「・・・しょうがないよ。」

「・・まあ、そうだな。」

私の髪を撫でる手。
大きくて冷たい、吸血鬼の手。

「DIO、私がいる。お前の側には私がずっといるからな。」

「・・・ああ。
お前も、わたしの前から消えてくれるなよ?」

「消える訳ないだろう。
・・ああでも魔女だから気が変わっていなくなるかもな。」

「ならわたしが、
永遠に気が変わらせないようにしてやるよ。」

「ほぅ・・、面白い。」

にんまり笑って、私は落ちてくるDIOの口付けを受け入れる。
その口付けはほろ苦い煙草の味がした。

























―――


























「そういやあのタバネって奴・・・。
あいつはDIOの命令で動いていたわけじゃなかったみてーだな。」

「そうですね・・、エンヤ婆という人の命令と言っていましたから・・。」

みんなで食事をとりながら、承太郎さんが言った言葉に返す。

「まあ、あいつらがわしらを殺そうとしているのは
確かなことじゃ。」

「そうですね。」

「まあオレに任せとけって!
オレがいりゃああんな野郎一撃だぜ!」

「君じゃ無理だよポルナレフ。」

「即答かよ花京院!?」

この人たちは相変わらずのテンションだ・・。
DIOを倒しにいこうとしているとは思えない。

「・・・ごちそうさま。」

「承太郎、今日は随分と食べるの速いね。」

「ああ、ちょっとな。
・・・先に部屋に戻ってるぜ。」


そういうと承太郎さんは部屋へと続く扉に消えていった。
・・・・、なんかあったんでしょうか・・。
気になる、なあ。

私も残りの夕食を急いで食べると、ジョースターさんたちに挨拶してから
承太郎さんの後を追いかけた。
























「承太郎さん!」

「・・・!美麗か、どうした?」

「いえ・・、浮かない顔をしていたので気になって・・。」

窓際に立つ承太郎さんに話しかければ、驚いたような顔を浮かべた承太郎さん。
帽子を外しており、帽子はテーブルの上に置いてあった。

「気にかけちまったか・・、悪いな。」

「いいんです、私が勝手にしていることですから。」

笑えば、承太郎さんもつられて微笑む。

「・・承太郎さん、少ししゃがんでいただけますか?」

「?・・・いいが、何をするんだ?」

私が言うと、承太郎さんは疑問顔になりつつ
素直にしゃがみこんでくれた。

そんな承太郎さんの頬を両手で包み込むと、
私は額にキスを落とす。

承太郎さんの体が揺れた。
私は構わずに承太郎さんの顔を自分の胸に押し付けた。

「・・・驚きましたか?」

「・・・・・。」

「これ、男の人にやったのは初めてです。」

本当は、ミコト様の記憶の中の母親が、
ミコト様にやってあげていたことなのだけれど。

自分の心音を承太郎さんに聞かせる。
鼓動、速くなってないかな。結構恥ずかしい。

「・・・・。」

承太郎さんの手が体に回る。
そんな承太郎さんの黒い髪を撫でる。

「・・大丈夫ですよ、承太郎さん。
あなた一人で、背負わなくたって。みんないるんです、頼っていいんです。
・・仲間、なんですから。」

ゆっくりと、ゆっくりと頭を撫でる。
幼子をあやすように、丁寧に。

しばらくの沈黙の後、私は声をかけた。

「・・落ち着きましたか?承太郎さん。」

「・・・・。
ああ、落ち着いた。悪いな、みっともないとこ、見せちまって。」

そう言って立ち上がった承太郎さんは先ほどよりも晴れやかな表情を浮かべていた。

よかった、力になれて。

「じゃあ私は部屋に戻りますね。」

私の部屋は隣の部屋だ。
今回はポルナレフさんと一緒に寝ている。
承太郎さんに背を向け、部屋のドアを開けようとすると
承太郎さんに手を掴まれた。

「?」

「今日はここで寝ろ。」

「へ?」

「花京院とチェンジだ。俺の方から言っておくから。」

「そ、それってどういう・・・。」

何かを言おうとする前に承太郎さんは私より先に部屋を出て行ってしまい、
それ以上何も出来なかった。

「ど・・、どうしよう・・・、寝られるかな・・・?」





















「くそっ・・・・!」

部屋を出て、しばらく歩いて立ち止まる。
顔を手で覆えば、自分の顔が熱いことに気付く。

「・・反則、だぜ。」

勢いに任せて一緒に寝るなんて言ってしまったし、
・・・・今日は徹夜か。

美麗、あんな顔も、出来るんだな。
思い出してさらに顔が熱くなる。

と、廊下の向こうから聞き慣れた声がした。

「おっ、承太郎!お前なにやってんげふぅっ?!」

「黙れポルナレフ。」

「理不尽じゃね?!」

とりあえず通りかかったポルナレフに八つ当たりに近い拳を叩き込んで、
俺はその場を後にした。






















end.
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