ジョジョの奇妙な冒険

□旅
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旅にポルナレフさんが追加されました。

ポルナレフさんは面白くて、女の私の体をよく気遣ってくれます。
でも、時々承太郎さんに睨まれてて少し不憫に思います。
・・・そういえば、家出少女に出会っていないけれど
これは、どういうことなんでしょうか・・・。

イエロー・テンパランスのラバーソール。
ハングドマンのJ・ガイル。
エンペラーのホル・ホース。
エンプレスのニーナ。
ホイール・オブ・フォーチュンのズィー・ズィー。

ここまでは原作通りでした。
でも・・・・。

「・・・っ、なんで、こんなことに・・・!」

透明な箱に閉じ込められた私。
周りは白い迷路。

こうなった訳は二時間前に遡る―――
























―――
























「情報・・、集まらねえな・・。」

「そうですね・・・。」

人気のない町中を歩く。
・・・まあ情報が集まらないのはDIOがカイロにいるからなんですけど・・。

と、目の前に長身の男が現れる。
・・・誰でしょう?

その男がにやり、と笑うと瞬間、
私の体は透明な箱に閉じ込められる。

「えっ?!」

「美麗っ・・!」

承太郎さんが驚いたようにこちらを向く。
しかし、そんな承太郎さんの姿は消え、
白い壁が私の目の前に広がる。

「どういう、こと・・・?」

こんなの、原作にない。
・・・ミコト様が来たことで、物語が変わってる・・?

―――そして、今に至る。

流石に二時間も狭い箱の中で身動きできずに閉じ込められていたら
体力にも限界がくる。

・・・どうしよう、本当に。

私のスタンドのパワーは皆無に等しい。
箱を無理に壊そうとしても無駄だろう。

「承太郎さん・・・・。」

名前を呟く。

「―――!―――!」

「・・・?」

小さいが声が聞こえる。
・・この声。

「―――!美麗っ!」

―――承太郎さん!

承太郎さんが私を、呼んでいる。

「承太郎さん!承太郎さんっ!!」

名前を呼ぶ。
お願い、私を見つけて!!

「!
近くにいるんだな・・っ。美麗ッ、どこだ!!」

「承太郎さんっ、承太郎さん!!!!」

喉が痛い。
久しぶりに大声を出した、声が出にくい。

「承太郎さああああん!!!」

「美麗、ここかっ!!!!」

白い道の向こうから、黒い長ランが見える。
走り寄ってくるのは承太郎さんで。
思わず笑みが溢れる。

透明な箱越しに承太郎さんと手を重ねる。

「美麗、どこも怪我は・・、してねえな。」

「はい、承太郎さんも無事でよかったです・・・っ。」

目から涙が零れる。
承太郎さんが困ったような顔をした。

「泣くんじゃねーよ・・、くそ、この箱邪魔だぜ・・。」

「ごめ、なさいっ・・、でも・・、承太郎さんが無事でっ、嬉しくて・・!」

「・・・・やれやれだぜ。
美麗、少し離れてな。」

「・・え?」

言われた通り、少し箱の壁から離れる。
すると、承太郎さんはスタープラチナを出す。

「オラァ!」

そして、スタープラチナは全力の拳を箱に繰り出した。
衝撃音と共に、箱には大きな穴が開く。

「すごい・・・。」

少し驚いて、その穴から飛び出せば
承太郎さんに優しく受け止められる。

そのまま承太郎さんの体に手を回して抱きつけば、
承太郎さんも抱きしめ返してくれる。

「承太郎さん・・・・!」

「美麗。もう大丈夫だぜ。」

「はいっ・・!」

しばらく抱きしめ合っていたら、
急に恥ずかしくなってきた。

・・・なんか今私凄いことをしてしまっているんじゃあ・・。

とたんに顔が赤く染まる。
恐る恐る上を向けば、承太郎さんも顔が赤くなっていた。

「ご、ごめんなさいっ、なんか雰囲気でっ!」

「・・・・。」

急いで承太郎さんの体から離れる。
承太郎さんが少し残念そうな表情をしていたのは私の錯覚だと思いたい。

「おやおや、ようやくお姫様を見つけたのかい?
空条承太郎・・・。」

聞こえた声。
声のした方へ振り向けば、あの男が立っていた。

「てめぇ・・・。
美麗まで巻き込んで・・、覚悟はできてんだろうな。」

「怖い怖い。
・・ぼくの名前はタバネ。『白城真白<ホワイト・キャッスル>』を操るスタンド使いさ。
エンヤ婆の命令で君たちを殺しにきた・・・。」

タバネと名乗った男の背後には、白を基調とした人形(ひとがた)のスタンドが現れる。

「ぼくは自分の箱の中に何でも入れることが出来る。
人も・・、例外ではない。」

・・なるほど。
それで私を透明な箱に閉じ込めたり、迷路のような箱の中に私と承太郎さんを放り込んだりしたのか・・。

「そう簡単に自分の能力をべらべらと話していいのかよ。」

「ええ、構わないさ。
自分の能力を話したくらいで・・、ぼくは君に負ける気はない。」

にっこりと笑ったタバネを承太郎さんは鋭い眼光で見つめている。

その瞬間、私の腕『だけ』が箱の中に移動した。

「っ!」

「美麗!」

痛い。もの凄く。
切れた腕の断面から血が溢れ出す。

「てめえ!!」

「こういうこともできるのさ。想像できなかったのかい?」

「ちっ・・!」

私の元に屈んだ承太郎さんが眉を寄せて私に言う。

「大丈夫か・・?
すまん、俺の不注意だ。」

「い、え・・。大丈夫ですよ。
承太郎さんの、所為では、ありません・・。」

スタンド、『裏切りの光<トラディミント・ルーチェ>』発動。

私の後ろに、長い金髪を持つグラマラスな女性の姿をしたスタンドが現れる。
これが私のスタンド、ルーチェだ。

「ルーチェ、お願いです。
私の腕を、戻してください。」

ルーチェは無言で、手を翳した。
するとタバネの箱の中にあった私の切れた腕は消え、
代わりに私の腕はすべて『元通り』になった。
もちろん、流れ出た血もすべて綺麗さっぱり消えていた。

「・・・何!?」

「さ、承太郎さん。遠慮なく、オラオラしてやってください。」

「ああ、わかってるぜ。
・・・・さあ、覚悟はいいかタバネとやら。」

立ち上がった承太郎さんはいつも以上の覇気を出しながら、
冷たい視線をタバネに送った。
























―――
























承太郎さんがタバネとの戦いで負った傷をルーチェの力で戻す。
承太郎さんはどこか遠くを見つめたまま煙草の煙を吐き出す。

「はい、終わりましたよ。」

すべて綺麗に元に戻す。
私が声をかければ、軽いお礼と共に灰皿に煙草を押し付けた。

そしてそのまま流れるような動作で、今日私が切られた腕を撫でる。

「くすぐったいです・・。」

「・・・今日は、本当にすまない。」

「どうしたんですか?承太郎さんらしくないですよ。
・・・それに、私は今まで散々承太郎さんに守ってもらってきましたから。」

いつも苦しい思いをするのは私ではなくて、
私の周りにいる、みんな。

・・私も、何かの役に立てればいいのに。

―――美麗、期待しているよ。

それに私は、魔女ですから。

「美麗。」

「なんですか?」

「少しだけ、体、貸せ。」

「?
・・・いい、ですけど。」

私が承諾した瞬間、承太郎さんは私を抱きしめた。

「!」

「・・・・・。」

承太郎さんは何も話そうとはしない。

胸に押し付けている耳に伝わるのは、承太郎さんの鼓動の音。
凄く速いですよ、やっぱり恥ずかしいんじゃないですか。
あの時と同じだ。

そういう私も多分、同じくらい心臓の動きが速い気がする。

でも・・・、たまには、こういうのも・・いいですよね?
ミコト様――――。

そのまま私は承太郎さんの体にすべて預けて目を閉じた。


























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