眞紅の蝶

□ずっと一緒
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ある晩。
僕と睦月は、僕の部屋で一緒に日記を書いていた。

僕らは毎日日記をつけていて。
物心ついたときから、ずっと今まで書いてきた。

「今日ってなんかしたっけー?」

睦月が僕の隣で呟く。
机は一つしかないし小さいから、僕と肩が常に当たっている。

「ええ?いろいろしたじゃん。宗方きてくれたし、千歳と遊んだし…」

僕は今日のページ、もう書き終わりそうだ。
宗方が来て新しい書物を貸してくれたし、千歳とはかくれんぼをした。

いつも通りの変わらない日常だが、それは幸せで。
僕は嬉々として日記を書いていた。

「むっ。俺と樹月の思い出が少ない」

ぎくっ。軽く肩があがる。
その振動で睦月が僕を見つめた。

「そろそろ儀式は俺らの番だ。俺はお前との思い出がいっぱい欲しいんだよ」

真顔で言われ、思わず目を背けずにはいられなかった。
そう。日記を書くのを続けてるのは、僕らの大切な思い出を記録しておくため。

いつか…睦月が亡くなってしまっても、いつでも思いだせるように。
だから僕らは日記を書くのを続けてる。

「そう…だね。今日は特に僕らの思い出が少ないかも」

「へへっ、だろ?今からつくろーぜ!」
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