*英国紳士*

□この時だけは・・・。
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この時だけは...。
〜*ヘンリー×レイトン*〜

「ランド様、レイトン様がお見えですが・・・・。」

「エルシャールか・・・通してくれ。」

雨の日の夜、レイトン様が屋敷に来られた。

こんな夜遅くの訪問は初めてではなく、ここ最近ずっとランド様と対談なされている。

私はランド様の執事の分際・・・彼のプライベートな事には決して触れてはいけないのだけれど、どうしても気になってしまう。


それは、少しの嫉妬だった。

黙って2人分の紅茶を用意すると再び、ランド様の部屋を訪ねる。

「紅茶をお持ち致しました・・・レイトン様、今夜はもう遅いので寝部屋を用意しておきます・・・・上着が濡れてしまっているので先に乾かしておきます。」

雨の中を走って来たのだろうか、しんみり濡れた上着を脱いで貰うと、そう告げる。

「あ、ありがとう・・・助かるよ、ヘンリー・・・・。」

誰しも笑顔をしてしまうような彼の笑顔を見てしまえば無意識に目を細めてしまう自分を抑えて、小さく頭を下げる。

部屋を出て客室のベッドに新しいシーツを敷き終わると、彼の上着をハンガーに掛ける。

ぁあ・・・この匂いは、落ち着く・・・・。

インクの匂いと雨の匂い、それから・・・紅茶のほのかな甘い匂い。
堪らなく愛しく感じてしまうその香りを抱き締め思う。

レイトン様は、ランド様の大切なお方・・・・だけれど、この時は・・・この時だけは私にも貴方を愛しく思わせて下さい・・・エルシャール様・・・・。

end

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