第121話〜

□第140話
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「美晴。セッティング完了。カウントダウン入るよ」


「サンキュー、シャル」

 ブースの向こうに居るシャルに手を振る。
 あれから二時間。僕達は生徒会の出し物のために放送室に来ていた。


「5、4、3、2、1」


『『ラジオIS学園!』』

 簪さん製作のオープニングテーマによって番組が幕を開けた。
 今年の生徒会の演目は放送室からのラジオ放送にした。去年はでっかいステージを使ったが、今年は放送室を使いこじんまりとしたスペースで行う。とは言え学園全体に放送は流されるので、規模としては最大クラス。機械に得意なラウラと簪さんを裏方。シャルがディレクター、のほほんさんがタイムキーパー。そしてパーソナリティーは――。


『さぁ始まりました! 織斑美晴のむ〜〜ん』


『他人の番組!』


『失礼。ラジオIS学園。パーソナリティーは織斑美晴と!』


『織斑一夏でお送りします!』


『まだまだ暑いけど、徐々に紅葉し始めてきたね』


『そうだな。もう少しするとうちの近所で銀杏が取れるな』


『千冬お姉ちゃんは銀杏好きだけどさ、あれやると家中が大変な匂いになるよね。こう言っちゃなんだけど、うん――』


『言わせねぇよ? あれで生計を立ててる方に失礼だろ。この前匂いを軽減する方法をテレビでやってたから今度やってみような』


『それはありがたい。ところで今回はラジオにしてみましたが、どうよ一夏。感想は』


『顔を出さずに好き勝手しゃべることが出来るのは楽かもな』


『だからって放送コードに引っ掛かるようなことは止めてね。三十分番組とは言え生なんだから』


『わかってるって。で、俺進行表もらってないけどどうするんだ?』


『主にこの箱を使用して進行します』

 シャルが箱を渡し、それを受け取って机の上へ乗せた。


『何が入ってるんだ?』


『主に生徒からのハガキです。さっきまでいろんな場所に設置してました』


『だから最近変な箱をあちこちで見かけたのか。何なんだとは思ってたが』


『で、これを僕達が引くと、何か答えにくいのは外してないか等々言われそうなので、引いてくれるゲストをお呼びしてます。どうぞ』

 ブースと調整室を繋ぐドアが開きゲストが登場。


『どうも』


『僕達の中学時代からの親友、五反田弾君です』


『俺部外者だけど、ここに居ていいのか?』

 キョロキョロ辺りを見回し、居心地の悪そうな感じを出している。


『生徒会長権限で許可します』


『楯無さん並みに職権濫用してるな』

 一夏の突っ込みが入るがそんなの無視無視。
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