第121話〜
□第124話
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「あの、習ってない単元とかあるんですけど……」
「お前のことだから予習済みだろう。さっさとやれ」
ちくしょう……。
今はテスト中。冗談じゃなくてマジでやらされています。
あのあと学園に着くと、みんなに囲まれながらも無理矢理別教室に押し込まれて、千冬お姉ちゃんの監督のもとあらゆる教科のテストを受けさせられています。
IS関連は向こうじゃ勉強してなかったのに……。
え〜い! やったるで〜!
ここはこうで、ここはこうなって。で、この公式を使って――。
「終わった!」
ホントに予習してないと危なかった。考慮して欲しいよ……。
「ふむ。すべて埋めたか。問題なかっただろう?」
回答用紙を回収しながら僕の顔色を確認する。もう体は大丈夫だよ。
「大ありだよ。結構ギリギリだったんだよ?」
「どうせ一夏よりも高得点だ」
あのレベルを基準にしないでよ。
「美晴さん。お嬢様が目を覚まされました」
テストが終わると同時に、虚さんがたっちゃんさんの意識が回復したことを伝えに来た。
「わかりました! すぐ行きます!」
立ち上がり、落ち着いてる虚さんを追い抜いて、僕は急いで寮のたっちゃんさんの部屋に向かう。
「たっちゃんさん!」
部屋には簪さんとのほほんさんが居た。お世話してたのかな。
「あ、美晴君。ちゃお〜」
ベッドの上で以前のように飄々とした雰囲気で手を振るたっちゃんさん。
「もう大丈夫なんですか?」
「えぇ。もう大丈夫。心配かけたわね」
グッと両拳を握って元気さをアピール。
「そうですか、良かった……。たっちゃんさん。ご迷惑をかけました。改めてごめんなさい」
僕は頭を下げて改めてたっちゃんさんに謝った。
「い、いいのよ別に」
たっちゃんさんは許してくれた。でも顔を背けながら、何だか取り繕ったように見える。
これじゃダメだ。ちゃんとしないと。このままだとさっきの取り乱したことは解決しきれない。
「ごめんね楯無。僕は君を見てるって約束したのに……」
キュッと優しく背中に手を回し抱き締めると、徐々にたっちゃんさんの目に涙が浮かんできた。
「もう忘れたりしないから」
優しく微笑むと堰を切ったように泣き出した。
「うわぁぁん! 美晴君! 怖かったの! 私を見てくれた初めての人が、そんな人が居なくなるのが怖かったのぉ!」
僕の腕の中で弱さをさらけだし泣きじゃくるたっちゃんさん。
そんなたっちゃんさんを優しく撫でる。
そのまま泣き続けること数分。いきなりたっちゃんさんが離れた。あれ、僕何かヘマしたかな。
「ん、ダメ。はっきりしないとこれ以上は……」