第121話〜
□第129話
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ドイツに到着した僕達は、基地から少し離れたホテルで千冬お姉ちゃん達と合流した。
「お前達も来たか。まぁいい」
二人を見て千冬お姉ちゃんが少し顔をしかめた。
「大丈夫。二人には安全な場所で待ってもらうことにしてあるから」
二人もうなずく。これは約束。絶対守ってもらう。
「そうか。ではまず状況を確認する。束」
千冬お姉ちゃんが合図すると、束さんがタイムテーブルと基地内の精巧な3Dの地図を表示する。
「はいはーい。うーんとね、ラウちゃんは朝方ここに移送されてきて、今はこの房に収容されてるよ。裁判開始までは外に出されないで監視も着くんだろうねぇ」
そんな調査が出来るあなたが怖いですが、今はありがたいですよ。
「ふーん。政府関係者も居るねぇ。国をあげて悪者にしたいのかな?」
出席者リストまで……。ホント、すごい人。
「こいつは少将だな。昔は中佐だったが出世したか。こんなお偉方まで余程自分の身が可愛いと見える。クズが」
千冬お姉ちゃんが見知った顔を見つけたようだ。そして睨み付ける。
「国とか民族性とかそんなの関係ないんだねー。さて、作戦ね」
そろそろ説明してもらわないと。僕はすぐにでも突撃したいんだから。
「明日は十四時から裁判開始だね。結審はどうせすぐでしょ。ラウちゃんに喋らせる気なんて全く無いんだから」
だろうな。クラリッサさんの話からすれば有罪、即処刑って流れだろう。
「まずはこれを使って基地内に侵入」
一枚のジャケットを取り出した。
「これを着て、ここのスイッチを押すと人間の目にも、あらゆる機器にも見つからないよ」
とうとうその技術を転用してしまったか。簡単暗殺ジャケット、そんな名前がぴったりだ。
「で、結審直後が狙い目だよ。処刑の準備のためにそれなりに人員が割かれることになってる。警備が甘くなった瞬間にミハちゃんがドッカーンって突入する。抵抗してきたら私とちーちゃんも即反撃するけどね」
別に難しいものじゃなかった。とにかく武力制圧。それのみ。でも分かりやすくていい。
「基地内は一時的に荒れるだろうね。二人はここにいて帰還を待っててね」
シャルと簪さんにはホテルで待機してもらおう。済み次第すぐに発てるようにしておいてもらわないと。
「「了解」」
二人はスケジュールをメモしていた。
「ではみんな。明日はよろしくね」
食事を取り早めに就寝する。
ラウラ……。待っててね。必ず助けに行くから。
「えーと、ここを押せばいいんだっけ?」