泣いた白鬼

□プロローグ
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「侍の国」

僕らの国がそう呼ばれたのは、今は昔の話。





かつて侍達が仰ぎ、夢を馳せた青い空には異郷の船が飛び交い。

かつて侍達が、肩で風を切り歩いた町には今は異人が踏ん反り返り歩く。



それが、僕らの世界。

それが、僕らの町。


「江戸」である。








―…そして。



これは、そんなお江戸の街で万事屋を営む、あの誰もが知ってる白鬼の、

…どうしようもなく不器用で、どこまでも一途な、誰も知らない恋の物語である。










第一訓


 
 

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