ゲットバッカーズ〜dream the world〜

□記憶の破片を取り戻せD
4ページ/5ページ




「速い……っ」


加速香を使ってもギリギリの差でナインが速かった。


銀次は寸でで雷を止め、卑弥呼への直撃を塞ぎ、蛮が消えたナインを追って飛び上がる。


真上に飛んでいたナインに、それよりも高く飛んで蛮が踵落としをお見舞いする。


「大人しくしてろ、ってな!!」


ガッ。


と、空中で見事に決まった踵落とし。


ナインは急速に地面に叩き付けられたが、すぐに飛び上がり、落ちてくる蛮の首を狙って手を突き出した。


「させないわよ。火炎香!!」


ブワリと炎が吐き出され、ナインを包み蛮への攻撃を回避させる。


「ナイス卑弥呼ちゃん!!次は俺の番だよっ」


バチバチ………ッ


大量放出した雷を落下してきたナインに浴びせ、ナインは電流により痙攣を起こす。


「ナイン!ナインッッ!」


叫ぶシックスを一瞥し、蛮がニヤリと笑う。


「ざっとこんなもんよ!!おい卑弥呼、今だ!傀儡香か催眠香持ってんだろっ」


「!わかったわっ……っても、今日は傀儡香しか持ってないわよ?」


「上等だ。この危険な姉ちゃんをさっさと封じろ」


「了解」


痙攣を起こすナインの鼻先に傀儡香を漂わせ、卑弥呼は視線を合わせ囁く。


「私に従いなさい……」


スッと、ナインの目の色がかわる。


うまくいった。


そう、誰もが考えた時。


ナインは痙攣しながらもユラリと立ち上がった。


「な!?」


身構える銀次に、卑弥呼がクスリと笑った。


「大丈夫よ。傀儡香を嗅いでいるから、もう私の言うことしか聞かな……―――」


言い終える前に、卑弥呼は目を見開きパクパクと空気を食べる。


蛮の目がこれ以上ないほどに見開かれ、とたんに叫んだ。


「卑弥呼ぉおおおっ!!」


「ば……ん…―――?」


卑弥呼の下腹部、そこから突き出た真っ赤な手。


卑弥呼の背後から、ナインが一撃を貫いたのだ。


一気に死に至る傷ではないが、今すぐに病院へ行かなければ間に合わない傷。


がはっ。


と血を吐く卑弥呼を見つめ、銀次が震える。


「そんな、嘘だ、卑弥呼ちゃん!!」


「ナイン、やめろっ」


銀次が叫ぶのと、シックスが叫んだのは同時だった。


「……ぇ……―――」


ドスっと鈍い音が聞こえ、銀次は息をつまらせる。


シックスの声に身体を揺らしたその次の瞬間、目の前にナインが居た。





 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ