magic of destiny

□第二章 出会い
1ページ/6ページ




ハリー・ポッターを知っているリディシアに、疑問を抱かない訳がないダンブルドアとマクゴナガルは、そもそも自分達の名前を知っていたことにも疑問を抱いていたことを思い出した。


眠っていたというのに、まるでこの今のホグワーツのことを知っているかのような事も言っていた。


二人は互いに顔を見合わせ、もう一度リディシアに視線を戻す。


一体どういうことなのか。そう尋ねてみれば、リディシアは罰が悪そうな顔で答えた。


「その、夢を見たんです。ハリー・ポッターという少年が、この学校で過ごした時間の経過を…」


夢だと言いながら、これが未来に起こることなのだと。


何故かリディシアはそんな予感がしていた。


俯きがちに二人に視線を返せば、マクゴナガルは「なんてことでしょう…!!」と口元を押さえていた。


ダンブルドアは何か考えあぐねているようで、表情の真意が掴めない。


しばらくの後、ダンブルドアが幾つかの質問をしてきた。


ハリーの両親の名前や、この学校の先生の名前を上げられるだけ上げて欲しいと告げる。


リディシアは迷いなくハリーの両親の名前や、先生方の名前を上げていった。


「ハリーのご両親が、リリー・ポッター、ジェームス・ポッターで、先生方が魔法薬学のセブルス・スネイプ、薬草学のポモーナ・スプラウト。呪文学のフィリウス・フリットウィック…」


次々と上がっていく先生の名前は、今現在このホグワーツで教えている教師たちに間違いなかった。


ということは、彼女の言っているハリーの話は恐らく、未来の出来事。


マクゴナガルと並んで動揺するリディシアに、ダンブルドアはそれ以上、何も聞きはしなかった。


「リディシア。どうやら君には近い未来に何が起こるのかわかっているらしい」


そして一拍おいて、ダンブルドアはふわりと微笑んだ。


「良ければ君の力を、君が思った時に貸してくれればありがたいんじゃが、どうかの?」


強制ではなく、あくまでリディシアの自由を尊重するかのような物言いに、リディシアは漆黒の瞳を揺らがせた。


未来を知っているなんて聞いたら、根掘り葉掘り聞きたくなるものではないのか?


リディシアの心中を察したのか、ダンブルドアはまたも笑った。


「そうたやすく未来がわかってしまっては、人生に面白みが欠けてしまうじゃろうて」


そう言ってウィンクをすると、ダンブルドアはまっすぐにリディシアを見つめた。


「お主が自分の力ではどうにもならないと感じた時に、ワシを頼ってくれれば良いんじゃよ」


微笑むダンブルドアに、気付けばリディシアも微笑んでいた。


「はい。ありがとうございます。そう言っていただけると、とってもありがたいです」


初めて見せたリディシアの微笑みに、マクゴナガルは「まぁ…」と笑みを零した。


その様子に、ダンブルドアも満足そうに笑っている。


出会った時から今まで、リディシアから人間らしい表情が見つけられず、マクゴナガルは彼女に人形のような印象を抱いていた。


それが今は花が咲いたように微笑んで見せ、幼い容姿に見合った表情になっている。


笑えば可愛らしい少女で、マクゴナガルはリディシアに好意を抱き始めていた。




―*―*―




ホグワーツ魔法魔術学校に入学が決まり、リディシアは寮が決まるまでは元々いた部屋を使っても良いと言われ、好意に甘える事にした。


ダンブルドアはリディシアが北の棟に100年も眠り続けていたということを、今まで知らずに過ごしていたという事実に驚いていたが、これだけ広い城の中を全て把握するなど無理な話だと思った。


帰り際にダンブルドアが「そうじゃ、今日からワシがリディシアの家族じゃからのう、おじいちゃんと呼んでも良いぞ」と言って手を振っていたのを思い出し、リディシアはひとり笑った。


偉大な魔法使いであるアルバス・ダンブルドアがおじいちゃんになってくれるというのが、何とも嬉しい話だった。


明日また詳しい話をしようということになり、リディシアは自分が眠っていた棟に帰って来た。


ダンブルドア。否、彼が「アルバスと呼んでくれて構わない」と言っていたので、親しみを込めてそう呼ぶことにして。


アルバスが言うには、入学式は一ヶ月後とのこと。


リディシアはそれまでに必要なものを揃えるようにと言われ、教材のリストを渡されたがちんぷんかんぷんだった。


その話についても明日詳しく聞かせてくれるということで、リディシアはすることもなく再び部屋の中を歩き回っていた。





 
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ