虚空の歌姫
□#04.バトル・アクション
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重力反比例 火山みたいに光るfin
君は知ってんの?アタシのbeating heart
妄想のギャラクシー
滑り落ちたらポイズンsea
何億光年 大胆なキスで、飛び越えろ
ハラペコなの♪
次のステージにいきましょう
持ってけ!!
流星散らしてデイト
ココで希有なファイト
エクスタシー焦がしてよ
飛んでけ!!君の胸にsweet
おまかせしなさい
もっとよくしてあげる…アゲル……
射手座☆午後九時Don't be late……―――!
離れた場所からでも聞こえる声量。
力強い彼女の歌声に、惹かれない訳はなかった。
時折耳を傾けては、頭痛がする前にイヤホンの出力を上げる。
そんなことを繰り返しながら、リヴィアは再びホールの近くまでやって来ていた。
溢れる生命力と、更なる高みへと駆け上ろうとする意欲。
彼女の歌声には、そんな強さが含まれている気がした。
全身全霊で、『私を見ろ、歌を聞け』と、そう言っているように思えた。
そんな彼女の姿勢は嫌いじゃない。
むしろ好ましい限りだ。
街で何度も聴いていたから、自然と覚えた彼女の歌。
「…uh〜……傷ついても…
The future of my love and life is not gonna say good-bye…
持ってけ…流星散らしてデイト…
ジカに希有なファイト…
エクスタシー…焦がしてよ…
飛んでけ…想い届けspeed
無限に広がる、heart揺らしてあげる…あげる……
飛んでけ…時を超えてく…
深さ自分次第、heart揺らして、愛をあげる……―――」
小さく口ずさめば、思いの外歌詞を覚えていたことに自分で驚いた。
次の曲が流れ出す頃、不意にポケットの中の携帯が震えた。
「上官……?」
取り出した携帯のディスプレイに浮き上がった文字を見て、リヴィアは表情を強張らせる。
一度任務に着けば後は放任するベベル上官からの滅多にない着信。
そこでふと無線の電源をオフにしていたことを思い出し、「しまった……!!」と慌ててその着信を取った。
「……はい」
『何故無線の電源を切っている!?リヴィアっっ』
「っっ……声が大きいです、上官」
『喧しい!!ったく……今すぐ本部に帰還しろ。緊急事態だ。コードヴィクターが発令された』
「なっ!?ヴィクターってまさか……!!」
『その、まさか、だ。とにかく急いで帰って来い。ライブは中止、警備任務も中止だ』
「……わかりました。急ぎます」
プツ――………
切れた通話。
携帯を握りしめ、リヴィアは弾かれるように駆け出していた。
鍛えられた身体は息切れを知らないはずなのに、別の部分から呼吸が荒くなっていく。
ついに。
ついに、ヤツらがやって来た……―――